少しタイプは違うものの、カイトは初代相棒の薫と同じ“武家顔”ד肉体派”だ。カイトが暴れることで作品に動きが増し、作品全体のトーンは明るかった。
当初、カイトは“チャラく、生意気で、短絡的な若者”だったが、右京への尊敬の念を深めるにつれ、落ち着いた警察官に成長していく。右京もカイトの内なる正義感を「警察官にとって一番必要なものを持っている」と評価し、右腕として重用した。薫との関係同様、心を通わせた相棒関係を築いていく。ときには“おじいちゃんと孫”のような仲の良さも見せていた。
しかしseason13の最終回で、カイトが親友の妹が殺された事件をきっかけに、犯罪者に暴力で制裁を加える「ダークナイト」として様々な事件を起していたことが発覚する。カイトは逮捕され、特命係は休止に追い込まれ、右京はイギリスへと旅立つことになってしまう。
カイトはなぜ犯罪に手を染めてしまったのか、疑問は残るばかりだ。しかしラストで描かれた右京の乗った飛行機を、涙を浮かべて見送るカイトの姿を見ると、どうやら右京への思いだけはウソではなかったようだ。
反町隆史演じる4代目はハイブリッド
ここまでの3代の相棒を振り返ると、ビジュアル、能力、関係性は前任者と対照的なキャラクターとして描かれている。
しかしこのセオリーが4代目で崩されるのだ。
「ニコイチなんて勝手に決めつけないでくれません?」
4代目相棒として登場したのが反町隆史演じる、法務省から警視庁へ出向したキャリア官僚・冠城亘だ。高身長で浅黒い冠城のビジュアルは完全に“武家顔”。暴力団を右京とともに制圧した格闘能力の高さなどからは“肉体派”にも見える。女ったらしで冗談が好きな冠城の明るさは、薫やカイトの“武家顔”ד肉体派”の系譜を継いでいる。
しかし仕事となると“頭脳派”だ。早慶大学法学部法律学科出身の頭脳と、自ら法務省をやめて特命係に正式加入するような正義感を持ち、右京と別行動をして捜査する独自性もある。右京と別行動する理由を問われると「ニコイチなんて勝手に決めつけないでくれません?」と言い放つが、そこには自身の人脈やスマートな交渉術で情報収集できる根拠のある自信がみなぎっている。
冠城は“武家顔”ד肉体派”であると同時に、右京と渡り合える“頭脳派”でもあるのだ。このハイブリッドさゆえに、冠城はこれまでの相棒たちと違う関係を右京と築いていく。