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右京がいつになく楽しそうにみえる絶妙な関係

 そもそも冠城は法務省から「現場に興味がある」と警視庁に出向してきた“お客様”なので、捜査においては「僕は素人だから」と一歩引いている。しかし右京に打つ手がなくなってくると「次は僕のターンですね」と嬉しそうな顔をして、「これから行くところは僕のフィールド。余計なことしないでください」と右京にはできない手法で事件を解決に導いていく。しかも真実を追求することへの執念や正義感、大胆な行動、危なっかしさが、右京と非常によく似ているのだ。

DVDBOX-1「相棒season14」

 この能力の高さや、なんだかんだ真摯に職務を遂行する姿勢に、右京は神戸に抱いたような信頼を冠城にも向ける。

 しかし冠城は神戸のように右京と対立はしない。

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 周囲から「右京は危険人物だ」と警告を受けた冠城は、右京本人に「あなたのこと、Mr.デンジャラスと呼んでいいですか?」と軽口を叩いたり、右京のことを「モンスター」と呼ぶ人に対して「モンスターもなかなか面白い」と返したりと、絶妙な関係を構築している。

 右京は神戸が特命係に配属されたとき「君は亀山君の代わりにはなれません」と突き放しているように“公家顔”ד頭脳派”との相性が悪いが、初代相棒を務めた薫や、自ら相棒に指名したカイトのような“武家顔”ד肉体派”とはいい関係を築きやすいようだ。

冠城は過去の相棒の“ハイブリッド”的存在なのだ

冠城が相棒になって右京が楽しそう

 この“武家顔”ד肉体派”ד頭脳派”の冠城が相棒になって、右京はいつになく楽しそうにみえる。右京が冠城を相棒に得たことで久しぶりに全力ダッシュしたり、機転の利く冠城につられて饒舌に語ったり。冠城に「自己満足」と批判された際には「想像が及ばないのなら黙っていろ!」と珍しく感情的にブチ切れる場面もあったが、ここまで感情を引き出せるのは冠城のハイブリッドさゆえだろう。

10月14日からスタートする「相棒season19」(「相棒」公式サイトより)

 右京と冠城の関係性は舞台裏でも同様のようだ。水谷は「オリコンニュース」(2019年10月9日)のインタビューで、反町のことを「ソリ」と呼び、撮影の合間に一緒に大浴場に行ったり、夜遅くに食事をとっているときに反町に「昭和の方はよく食べますね」とイジられたりしたエピソードを明かしている。

 冠城は右京にとって、肩を並べて戦える“似た者同士”かつ“凸凹コンビ”という“最高の相棒”というわけだ。Season19 でこの“最高の相棒”は右京とどんな活躍を見せてくれるのだろうか。