1日100人ペースで増えるサブスク会員
サブスクは飲食業界に広まりつつある。
東京と埼玉で店舗展開する「居酒屋一休」も、10月からドリンクとおつまみが半額になる「サブスク会員」のサービスをスタートさせた。
「サブスク会員がどのように増えていくのか、9月中旬に渋谷店のリニューアルにあわせてテスト的に行ったところ、1日100人ペースで増えていきました。想定していたよりも会員数が増加したので、10月1日より31店舗に拡大して展開することにしました」(広報担当・岡田順弘さん)
居酒屋一休では今までも類似の会員サービスを展開していた。今回、スマホで管理するサブスク会員にサービスを集約したことに加えて、クレジットカードを持っていない学生や年配者向けに、同じサービスが受けられる「当日会員」(500円)、カード半年会員(3000円)も設定した。会員になることでプレミアム・モルツの中ジョッキが何杯でも1杯190円で飲めたり、グランドメニュー内の料理が全品半額になったり、これらのサービスが曜日に関わらず受けられるようになった。
「お客様に来店してもらうために、今までは曜日ごとに様々なキャンペーンを展開していました。それらの販促企画を新しい会員制度を導入するのを機に、お客様も『いつきてもお得なサービスが受けられる』という認識を持ってくれるようになって、曜日による来店客数のばらつきが解消されました」(岡田さん)
混雑が緩和されたことで店内の密が避けられるようになり、席数が少なくてもお客様の回転率が良くなったという。また、曜日ごとの客数のばらつきもなくなり、従業員数も安定した。サブスクはお客様の囲い込み以外にも、様々なメリットを飲食店に生み出しているようだ。
実は高い店側の「サブスクハードル」
今後、サブスクの飲食店は増えるのか。
社会でサブスク導入が一気に広がった背景には、サービスをスマホで管理できるようになったことが大きい。サブスク会員を紙のメンバーズカードで管理すると、友達同士でカードの貸し借りが発生するリスクを抱えることになる。しかし、サブスクの仕組みをスマホで管理するとなると、法外な開発コストが発生する。
そう考えれば、今までサブスクが普及してきたのは大手企業が多い自動車やアパレルの業界に限られていることにも納得がいく。1回の取引金額の単価が高く、インターネットと相性がいいビジネスというのも、これらの業界でサブスクが普及した理由のひとつといえる。一方、中小零細企業が多く、お世辞でもITリテラシーが高いとは言えない飲食店の業界では、サブスクを導入するハードルは高かった。