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 筒美さん作曲のアニソンで最も有名な歌は、TVアニメ『サザエさん』('69年)の主題歌と副主題歌だろう。もはや国民的歌謡といっても過言ではない。50年以上も流れ続けているテレビ主題歌もそうはないだろう。

復刊された漫画「サザエさん」の1~3巻 ©️共同通信社

 そんな筒美さんの、本格的アニソン・デビュー作は藤子・F・不二雄先生原作の『パーマン』('68年)の挿入歌、2号の歌「パーマン2号はウキャキャのキャ」だ。続けて藤子不二雄A作品『怪物くん』('68年)の主題歌・副主題歌を担当。どちらも白黒作品にして初のアニメ化だった。特に『怪物くん』主題歌の「おれは怪物くんだ」は現在、A先生が青春時代を過ごしたトキワ荘のあった南長崎、その最寄りである西武池袋線・椎名町駅の電車の発着音楽としてメロオケが流されていたりするので、「あゝあの曲か!」と、ポンと掌を叩く方も多いことと思う。白石冬美さんによる力強い歌声も忘れられない。

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『重戦機エルガイム』でアニソン界に革命をもたらす

 筒美さんは、『機動戦士ガンダム』('79年)で知られる富野由悠季監督作品、通称“富野アニメ”にも楽曲を提供している。特に『重戦機エルガイム』('84年)後期主題歌の「風のノー・リプライ」が、当時のアニメ音楽界にもたらした衝撃ははかりしれない。初めて耳にした際、「何かが変わった!」と心の底でつぶやく自分がいた。

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 それまで設定や必殺技・武器名をシャウトしたり、男性主人公の心情を綴る巨大ロボットアニメの主題歌・副主題歌のセオリーはここで崩れ、以降、そうと言わなければ普通のポップスやアイドル歌謡として充分通用する楽曲が、続々と同ジャンルを席巻していくこととなる。筒美さんはアニソンに確実に革命をもたらしていた。なお、筆者は音楽・歌謡曲研究家ではないので、あくまでも個人的感想の範疇を出ないが、この「風のノー・リプライ」は、松田聖子さんの大ヒット曲「青い珊瑚礁」(’80年)への筒美流アプローチだったのではないか? と思っている。鮎川麻弥さんの透き通るような歌声も素晴らしかった。