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「もうだめなんだ…死ぬよ」本気で助けを求められた時に絶対にしてはいけない3つの話題

2020/10/24
note

・詰問や説教
・楽しかった思い出話
・飲酒を勧める

丹羽亮平医師

「必要に応じて『なぜ死にたいと思うのか』を質問することは大事ですが、相手を問い詰めるような聞き方や、『残された家族の気持ちを考えろ』などと叱るのは絶対にNGです。当人は相談する前に家族のことでさんざん思い悩んでいるはず。そのうえで死を選ぼうとしているのです。それを、たとえ親友や恋人であろうと、外部の人間に指摘されたら自棄になる危険性があります」(丹羽医師、以下同)

 恋人同士なら過去の楽しかった思い出話で落ち着きを取り戻せるような気もするが……。

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「状況にもよりますが、過去の話は『今の私じゃ一緒にいてもつまらないんだ』と解釈されてしまう恐れがある。死を意識している人はすべてを悲観的に捉えてしまうので、警戒が必要です」

 最後の「お酒」は最も危険だ。

「アルコールは恐怖心を麻痺させ、思考力、衝動抑制の低下を招くので、自殺のリスクを高める方向に作用してしまう。たとえストレス解消が目的であったとしても、飲酒の提案は避けるべきです」

恐怖心を麻痺させ、衝動を抑制することが難しくなるため、「お酒で忘れよう」と飲酒を勧めるのは最も危険 ©️iStock.com

「がんばれ」という言葉は使って良い場合も

 では、告白された側はどうすればいいのか。丹羽医師は、自殺企図を止めるのは容易ではないが、当事者の思いに寄り添うことが大切だとする。

「何よりも “感謝”の意をあらわすことです。死にたい、と打ち明けるには大きな勇気が必要です。まずその勇気を称え、また自分を信用して打ち明けてくれたことへの感謝の気持ちを込めて、『ありがとう。よく話してくれたね』と伝えるのです。その上で、話をせかしたり、話の腰を折るようなことをしたりせず、ただ寄り添うように話を聞いてあげてください。否定も肯定もせず、受容と共感を心がけましょう。間違っても『もっと苦しんでいる人はいる』、『俺だって死にたいよ』と当人の苦しみを過小評価したり、『大丈夫、何とかなるよ』などの安請け合いはしないでください」

 よく、「うつ状態の人に『がんばれ』と励ましてはいけない」という話を聞くが、実際のところはどうなのだろう。

「状況にもよります。日本語の『がんばれ』は命令ではなく、『私はあなたを応援しています』という程度の意味に過ぎないので、取り立てて問題になることはあまりない。私も『無理はしないでがんばってください』と言うことはあります。ただ、『うつ病は気力で克服できる』という考え方の人が『がんばればよくなる』という意味でこのセリフを使うと、追い詰める結果となってしまうので危険です」

「がんばれ」という言葉も「気力で克服できる」という意味で使われなければ、純粋な応援として受け入れられる場合も ©️iStock.com

 このあたりは二人の関係性や、それぞれの性格によっても違ってくるので、危険だと思ったら使わないほうが無難だろう。