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 生死にかかわる相談を受けるということは、あなたは優しい性格で、相談者から頼りにされている証拠。自殺を考える人は根が真面目なので、そんな大切な人との約束であればなおのこと守ろうとする。次に会う約束をして、「楽しみにしているよ」と声をかけてあげることで、約束の日までは“生きる選択”をしてくれる可能性が高まるのだ。

次に会う約束が、文字通り“命綱”になることもある ©️iStock.com

「次回以降、少し落ち着きを取り戻してきたら、心療内科などメンタルヘルスの受診や、専門の相談機関の利用を勧めてもいいでしょう。その場合は、当人だけで受診させるよりも、できれば誰かが同伴するのが望ましい。せめて予約の電話をかけるときだけでも一緒にいてあげると心強く感じるものです」

 「相談される側」が共倒れにならないために必要なことは…

 最後に、丹羽医師は「相談される側」のメンタルについて言及する。

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「相談者との距離が近いほど、あるいは性格が優しい人ほど、悩みを打ち明けられたときのストレスも大きくなります。時には責任の重さに耐えかねて“共倒れ”になる危険性もあります。そうならないためにも、すべてを一人で受け止めるのではなく、相談者の家族や仲間と連携をとったり、必要に応じて“相談される側”として、専門の相談窓口の利用も視野に入れて考えてほしい」

 繰り返しになりますが、人はいつ自殺の危機に直面するかわかりません。自殺について相談する側、相談を受ける側の違いはあれ、“その時”に慌てて、誤った行動をとらないためにも、最低限の知識と対処法は持っておきたいものです。

※参考:政府広報オンライン「あなたもゲートキーパーに! 大切な人の悩みに気づく、支える」