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 希死念慮を持つ人に「飲酒はご法度」と書いた。しかし、希死念慮がなくなるとは限らないが、場合によっては効果を発揮する可能性のある飲食物もあるという。

「甘いものを勧めたり、糖分が多めの飲み物を勧めるのはアリです。特にそれが深夜であれば、一時的な脱水や低血糖で判断力が低下している可能性もある。甘いものを摂ることでセロトニンやドパミンなど多幸感をもたらす神経伝達物質が分泌されます。また、何かを食べる、飲む、という行為そのものが自律神経を副交感神経優位(リラックス状態)にさせるので、気分が落ち着くことはあり得ます」

甘いものや糖分の多い飲み物が有効な場合もあるという ©️iStock.com

落ち着いたタイミングで大切なのは…

 日中に直接会って話ができるなら、外に出て散歩をしながら話を聞くのもいい。

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「相手が話せばそれに耳を傾ける。そうでなければ天気の話や時事的な話題などを選んで、自分の内面に向いている意識を外側に向けられるようにしてあげるといい。できればこの時はマスクを取って、こちらの表情を見せてあげてください」

 他にも、話をしながら軽く肩をたたく、恋人同士なら頭をなでる、軽くハグするなど、スキンシップをはかると効果的だと丹羽医師は言う。

「スキンシップにより、愛着や共感をつかさどるオキシントンというホルモンが分泌され、人とのつながりや協調を思い出すきっかけになります。それまで感じていたであろう孤独感が軽減される可能性が出てくるのです」

 この時も、基本姿勢は「話を聞く」ことにつきる。

「死にたい」と相談してきたということは、死ぬか生きるかで迷っている段階。言い換えれば、「生きる」という選択ができる最後のチャンスだ。

 もちろん、かなり難しいチャンスであることも事実。当人は強いストレスの中で「死にたい」という言葉しか思い浮かばないのかもしれないし、こちらの言葉が伝わって欲しい形で届くとも限らない。だからこそ、できることは「話を聞く」ことで、「聞いてくれる人がいるんだ」ということを言葉に頼らない形でも伝えることだ。

「『死にたい』と言っているうちは死なない――という俗説がありますが、これは間違いです。この状況で、たとえ正論であっても、当人の話を否定するなど不用意な発言をすると、死に向けて一気に舵を切らせてしまう危険性があります」

 相手が落ち着くまで話を聞いたら、次に会う、あるいはメールなどで連絡を取る約束をするといい。