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犯罪組織が砂に群がる理由とは

 だが、つねに砂の需要は供給を上回っているため、この規制はあまり機能していない。かえってヤミ市場を活気づけ、激しい砂の争奪戦がつづいている。砂の生産コストの大部分は人件費と輸送費。犯罪組織にとってはおいしいビジネスだ。砂糖にたかるアリのように、犯罪組織が砂に群がっている原因でもある。

 取り締まりの監視の目を逃れるために、近年は夜間にダイバーが潜って川底の砂を採取する方法がとられている。報道によると、インドでは7万5000人の労働者がこうしたダイバーとして働いているとされる。その多くは貧しい農民や漁民だ。

砂マフィアに利用される地元漁師

 ムンバイ市内を流れるターネー川上流では、砂マフィアが地元の漁師たちを雇って砂を採掘している。数年前までは水深15メートルほどの川底で砂を集めることができたが、最近はさらに深く潜らないと砂が採れなくなってきた。このため、耳からの出血や頭痛などの潜水病に苦しむ労働者が増え、命を落とすダイバーが後を絶たないという。

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 多いときには毎日200回以上潜って、バケツで砂をすくっては小船に積み込む。その小船から大型の船や陸で待機するトラックに積み替えられて運ばれていく。小舟1杯分の砂を集めると5ドルほどの報酬が得られ、これは全国の平均賃金の約4倍だという。

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 しかし、違法採掘が横行しても国内で砂の需要をまかないきれず輸入が増えてきた。2017年にはマレーシアから正規のルートで計10万9000トンの砂を積んだ船がタミルナードゥ州とカルナタカ州の港に入港した。おそらく、インドがはじめて輸入した砂と思われる。その後もインドネシアやフィリピンからも砂を輸入している。

 政府の長期計画によると、2022年までに手ごろな価格の都市住宅を2000万戸建設し、同時に道路と鉄道のネットワークを一気に拡大させる。だが、必要な砂はどこから持ってくるのだろうか。長期計画では触れられていない。