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「神戸、尼崎、岡山…連続銃撃は高山出所へのアピールで若い衆が仕掛けた」暴力団幹部が証言するカリスマヤクザの存在感

2020/10/25

genre : ニュース, 社会

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高山の出所で加速する銃撃

 その高山の出所は、6代目山口組を一気に動き出させることとなった。

 高山が出所する8日前にあたる昨年10月10日には早速、弘道会系幹部が、神戸市内で神戸山口組の山健組系組員2人を射殺。11月18日には、熊本市内で神戸山口組系幹部が刃物で刺され、19日には札幌市内で別の神戸山口組系幹部宅に車両が突入する事件が発生した。警察関係者によると、いずれの事件も、高山が熊本、札幌の6代目山口組系の組織を「激励」した直後に発生していたという。

 さらに、衝撃的な事件が起きる。11月27日、夕暮れ時の尼崎市の商店街で6代目山口組系竹中組の元組員が自動小銃を乱射し神戸山口組幹部、古川恵一を射殺したのだ。使われた銃器は「M16」と呼ばれる自動小銃で、数十発が発射された残忍さだった。

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関係者に流出した写真には、尼崎の事件現場に残された自動小銃とみられる凶器が写っていた

 6代目山口組と神戸山口組の対立抗争事件を注視していた指定暴力団幹部は、「古川は、6代目側から神戸側に寝返ったということだが、当時はすでに若い衆も離れて、組織というほどではなかった。なぜ、自動小銃で弾を撃ち尽くすほどの殺し方をする必要があったのかと思った」との感想を漏らしていた。

 事件は年をまたいで続いた。今年5月には、岡山市で神戸山口組池田組最高幹部が銃撃されて重傷。犯行は6代目山口組系大同会の幹部によるものだった。さらに8月には山口県岩国市で神戸山口組木村会(当時)幹部が6代目山口組竹中組系組員に銃撃を受けて重傷を負った。

「親分を売り出すために」

 高山の出所を契機に始まった、6代目山口組による神戸山口組側への一方的な銃撃事件の続発。山口組の事情に詳しい前出の指定暴力団幹部が指摘する。

「事件をやった竹中組や大同会は、高山が服役中に6代目山口組の中で出世している。大同会は事実上のナンバー3とされる『本部長』、竹中組は『若頭補佐』と、いずれも最高幹部に就いた。高山が出所してきたことで、竹中組や大同会の若い衆が自分の親分を売り出すために、神戸側に事件を仕掛けて走ったと考えるべきではないか」