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事務局は電話に出ない、3カ月経っても振り込まれず…旅行関係者が語る“GoToカオス”

2020/10/29
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まったく対応してくれない事務局のコールセンター

――大手宿泊予約サイトによる割引上限額の引き下げ問題もその点に起因するわけですね。

山本 そうです。JTBなどの大手は事務局としてGoToトラベルの制度設計にも深く関わっているので、かなり早い段階からキャンペーンの詳細を把握していました。それによって、中小の旅行会社に比べて準備がかなり先行していたのです。

 そのため予算枠を早々に使い切ってしまいそうになり、これ以上は販売できないからと3500円にしたのでしょう。それがニュースで大きく報じられて問題になったので、政府が慌てて大手に追加の予算枠を与えたわけです。出遅れた私たち中小の旅行会社は、予算枠を使い切るどころか余っているにもかかわらず……。

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――業界大手4社によるコンソーシアムといえば、各社から事務局に出向している社員の高額すぎる日当も問題になっています。

山本 日当4万円と報道されていますよね。しかし、そのわりにコールセンターに問い合わせしても、事務局はまったく対応してくれないのです。10月1日から始まった地域共通クーポンについてもかなり問い合わせしたのですが、1度も返事が来ません。上の人間と話をさせてくれと頼んでも「上はいません」と言うばかりで埒(らち)が明かない。

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 こうした事務局のお役所的な対応、情報の独占は、GoToトラベルが始まった当初から変わりません。大手以外の中小旅行会社は、開始前の説明会に始まり、この間ずっと事務局による情報の独占に苦しめられてきたのです。

JTBがGoToトラベル参加ホテルの情報を独占

――事務局とのあいだでどんな問題があったんですか。

山本 たとえば、開始当初でいうとホテルの問題がありました。GoToトラベルでは、ホテルが事務局に申請し、認められるとキャンペーン対象となります。日航ホテルなら、全国に何十箇所もあるグループ全体がリストになっているんですが、それだけではホテルがどこにあるかがわからないんです。

 そのため、中小の旅行会社は対象のホテルの所在地などをホームページを開いて一つひとつ確認しなければなりませんでした。ところが、大手はキャンペーンが開始された翌日の7月23日の時点で、参加しているホテルがオンラインシステムにほぼ反映されていたんです。とくにJTBは早かった。