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事務局は電話に出ない、3カ月経っても振り込まれず…旅行関係者が語る“GoToカオス”

2020/10/29
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このキャンペーンで得しているのは大手7者

――事務局も大変なのかもしれませんが、GoToトラベルは大手7者のために設計された不公平な制度に見えます。

橋本 もちろん、このキャンペーンでもっとも得しているのは大手7者かもしれません。ただ、そうした不公平さは大手と中小とのあいだにあるだけではなく、国内旅行をメインに取り扱う旅行会社と海外旅行をメインに扱う旅行会社のあいだにもあるのです。

 うちの場合、おもに海外旅行のオーダーメイドツアーを提案している旅行会社なので、4月から6月にかけては売り上げが前年比98%ダウンでした。飲食店の方が対前年比6割減と嘆いているニュースなどを見ると、4割もあってうらやましいと思ったくらいです。

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©iStock.com

GoToトラベルだけじゃなくGoTo検査も

――たしかに、国内旅行を中心とする旅行会社にはGoToトラベルの恩恵に与って前年実績を上回っているところもありますが、いまの状況で日本から観光目的で海外に行く人はほぼいませんね。

橋本 先日、菅総理のブレーンのひとりであるデービッド・アトキンソン氏がテレビで「観光業を回復させるには、GoToトラベルだけじゃなく、GoTo検査もやらなきゃダメだ」と言っていたのですが、私もまったく同感です。GoToトラベルでは国内のオンライン予約に強い旅行会社だけしか潤いません。

 多少税金を使ってでもPCR検査の体制を強化すれば、コロナに感染するのが心配という人も安心して旅行に行けるようになります。PCR検査をもっと手軽にし、自分の受けたいときに検査を受けて陰性証明書を取れる体制ができれば、海外旅行に行きたいという人も増えるはずです。

◆ ◆ ◆

 念のために付け加えておくと、山本氏も橋本氏もGoToトラベルを頭から否定しているわけではない。2人に共通しているのは、観光産業全体がコロナ禍で窮地に立たされているなかで、本来、GoToトラベルというキャンペーンは非常にありがたい施策と認識していることだ。

 しかし、現状はご覧のようなトラブル続きで、大手7社のための制度になってしまっている。菅総理はこの現状をどう思うのか。

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