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(3)環境性能:レクサスの「2007年モデル」のエンジンと同型

 一般的に、環境性能の高さは排気量の大きさと反比例する。大きくて出力の高いエンジンほど燃料の消費率が高く、5,000ccという国産最大級のエンジンを搭載するセンチュリーは、いかにハイブリッド機構による補助があるとはいえ、現代において特別環境性能に優れたモデルであるとは言い難い。

※この写真はイメージです ©iStock.com

 そもそもセンチュリーに搭載される「2UR-FSE」というエンジンは、2007年に登場したレクサスの先代LSと同型式のものであり、設計としては新しくない。

 井戸知事はセンチュリーを選択するにあたり、「5,000ccあったレクサスが3,500ccになり知事車としての基準を満たさなくなったため、5,000ccのセンチュリーを選択した」という旨を述べているが、「レクサスが3,500ccになった」というのはまさにこの「2UR-FSE」を搭載した先代LSが、フルモデルチェンジによってエンジンをダウンサイジング化したことを示している。ダウンサイジング化は環境面への配慮から世界的に推進される動向であるが、井戸知事はその流れに反し、わざわざ新型エンジンを避けたことになる。

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 環境性能の高い車種に適用される「エコカー減税」の面から言えば、新型LSは「100%減税」、センチュリーは「50%減税」である。LSハイブリッドの価格は11,422,000円~となっており、センチュリーとの価格差は800万円を超える。より安く、よりエコな車を避けるほど、井戸知事にとっては「排気量5,000cc」という数字が重要だったと見受けられる。

(4)快適性:限られた人間にしか許されない贅沢空間

「ショーファードリブン(運転手をつけ、自らは後席で過ごすスタイル)」の代名詞たるセンチュリーが、快適性に優れることには疑いの余地がない。レクサスのフラッグシップであるLSと共通のプラットフォームを用いつつ、ホイールベースをさらに拡大していることからも、後席の居住性に対するトヨタの強いこだわりがうかがえる。


センチュリーのラグジュアリーな車内(TOYOTAウェブサイトより)

 ふらつきや振動、騒音がシャットアウトされた車内で、オットマンに足を乗せ、やわらかなシートに包まれながら、マッサージ機能で身体をほぐしていく。限られた人間にしか許されない、贅沢な時間である。そのような体験に値する人間というのは、どれほどの能力や影響力を持った人間なのだろう。