「カズちゃんがプールで溺れているわよ」
以前のカズさんは泳げませんでした。もうずいぶん前のある日、都内のスポーツジムへ一緒に行くと、女優の吉永小百合さんが「カズちゃんがプールで溺れているわよ。キーちゃん、助けにいったほうがいいんじゃない」と言うんです。もちろん本当に溺れているわけではなくて、カズさんの泳ぎがそんなふうに見える、ということだったのでしょう。
それが、いまではスイスイと泳いでいます。疲労回復やリハビリ、あるいは自主トレのメニューなどでプールを使うことがあるから、泳げるほうがいい。サッカーがうまくなるために役立つから、カズさんは泳ぎを練習したのです。
9月23日の試合以降、カズさんのJ1リーグ出場はありません(10月24日現在)。しかし、今シーズンのJリーグは新型コロナウイルスによる中断があった影響で、試合間隔が必ずしも一定ではありません。短い間隔で試合が組まれていることがあり、シーズン終盤へ差し掛かっていくこれからは、蓄積疲労からケガ人の出るリスクが高まります。どのチームも総力戦の色合いが強くなっていくため、カズさんが再び出場機会を得ることは十分に考えられます。
何歳まで現役を続けるのか?
何歳まで現役を続けるのかは、カズさんにしか分からないでしょう(笑)。55歳までとか、60歳までとかいう区切りを目安にするというよりは、身体が続く限り、チームから必要とされる限りはスパイクを脱がないでしょうね。
現所属の横浜FCには、これまでのプレーしたどのクラブよりも長く、15年も在籍している。「ファミリーのような雰囲気を感じている」と、本人も愛着を持っているようです。
私自身は、カズさんにJリーグの要職に就いてもらいたい。けれど、何事も中途半端が嫌いなので、現役を続けながら他の仕事をするとは考えられない。
だとすれば、いまはとにかくピッチを駆けるカズさんを見たい。今度はもっと長くプレーしてもらいたいし、早く次の試合をみせてもらいたい、と感じています。
こうなったらもう、年金をもらいながらやるのもいいんじゃないかな、と思いますよ(笑)。
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「文藝春秋」11月号および「文藝春秋 電子版」掲載の「三浦知良は永遠のサッカー少年である」では、北澤氏しか知らないカズ選手とのエピソードが明かされている。Jリーグ開幕当初の豪快なエピソードや、現役日本代表選手と開催される「カズ会」の真相、さらには「カズはなぜ大一番で結果を残してきたのか」などが、30年来の盟友の視点から浮き彫りになる。
三浦知良は永遠のサッカー少年である