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2020/10/30

 ちなみに、同社には、武将のプロフィールを作る専門の生き字引がいて、社内にライブラリーもあります。襟川さんの知らないことも答えてくれるそうで、こうした力があってこその「信長の野望」なのですね。

合戦には「士気」も関わるのが「信長の野望」 ©コーエーテクモゲームス(信長の野望「大志」より)

ロングヒットを支える職人芸

 コーエーといえば「歴史ゲーム」が“代名詞”。中国の楚漢戦争や水滸伝、幕末、ナポレオン、太平洋戦争など、さまざまな歴史ゲームを世に送り出してきました。

 しかし、いまだに出ているのは「信長の野望」と「三國志」シリーズだけ。その理由を(図々しく)襟川さんに聞いたところ、答えはシンプル。「その2つが売れるから」というものでした。華々しい販売数がなく、地味であっても、これだけの長期間にかけて新作が定期的に出るということこそが、しっかり売れている証といえそうです。

新しい作品のたびに、前作とは違う遊びを提案してきた ©コーエーテクモゲームス(信長の野望「大志」より)

 こうしたロングセラーを支える最大のポイントは、毎回テーマを決めて、前作とは違う遊びを提案する「創意工夫」。また、ドラマやマンガなどのコンテンツで、無名だった人物がフィーチャーされると、そこを確実にフォローしていることでしょう。「花の慶次」のヒットを受けて前田慶次を登場させたり、NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」のタイミングで井伊直虎で遊べるようにしているのはその一例です。

 また、歴史ゲームは情報量が多いだけに、それを視覚的に伝わりやすく整理してユーザーに理解してもらう必要があります。この技術は「削りすぎても残しすぎてもダメ」な、まさに“職人芸”。

情報量が多い歴史ゲームは「視覚的に整理」するのが大きなポイントになる ©コーエーテクモゲームス(信長の野望「大志」より)

 ゲーム業界の垣根を越えてその職人ぶりは知れ渡っており、2016年放送の大河ドラマ「真田丸」では、フル3DCGの技術を提供して「3D地図監修」にシブサワ・コウの名前がクレジットされました(余談ですが、「シブサワ」の由来は、来年の大河ドラマの主人公で、実業家の渋沢栄一に由来しているのだそうです)。

 シリーズ最新作の「信長の野望・大志」が出たのは2017年。そろそろ次の発表があっても良さそうです。そして次はどんな視点から戦国時代を切るのか、ファンの一人一人が楽しみにしています。

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