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子どもがいじめ加害者になったら? 「一緒に解決していこうと語りかけることが大切です」

子どもがいじめ加害者になったら? 「一緒に解決していこうと語りかけることが大切です」

マンガ家・大原由軌子が対処法をアドバイス

2020/11/12
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二度といじめが起きないようにするためには

──今回のケースでは、いじめ被害者の親といじめ加害者の親、両方を経験されたわけですが、それぞれの立場の違いについてお聞かせください。

大原 いじめ被害者の親の立場に立った時に感じたことは、加害者側の保護者の対応によって、いじめ問題の苦しみが何倍にも増してしまうということです。いじめ問題で一番大切なことは、加害者側がいじめたことをしっかり認め、「何がよくなかったのか」をきちんと理解した上で、二度といじめが起こらないように自分の行動を改めることだと思います。被害者側を経験したことで、加害者側がしなければならないことを学ぶことができました。

いじめが発覚した翌日、被害者の親御さんの家に行き、謝罪をしたが……。© 大原由軌子/文藝春秋

──スクールカウンセリングや子ども子育て応援センターに相談に行かれましたが、実際に体験していかがでしたか?

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大原 長男のタケが受けたスクールカウンセリングの先生からは具体的な解決策を提示してもらえ、アドバイスもとても的確でした。タケも先生との相性がとても良かったことで自分の胸の内を全て伝えられ、反省点をきちんと見つめ直すことができました。ただ、すべてのカウンセラーの方がそのような技術を持っているとは限らないようです。ですので、「この専門家とは合わない」という場合があれば、新しい相談先を自治体などに問い合わせて調べられることをお勧めします。保護者自身で動くことが大事だと思います。

スクールカウンセリングには親子3人で参加した。© 大原由軌子/文藝春秋

──いじめ問題に対する学校の役割についてはいかかでしょうか?

大原 今回マンガに描いた「加害者側のいじめ問題」だけでなく、男子2名を育てる上でたくさんのいじめ問題を経験しました。問題を解決するスキルを持っている先生が揃った学年だったらいいのですが、そうでない場合も多々ありますし、保護者の方のタイプもいろいろですし、なかなか一筋縄ではいかないのがいじめ問題の根の深さです。スクールカウンセリングだけでなく、スクールロイヤーなど新しい制度をどんどん活用していただきたいと思います。

全校集会でいじめ騒動が取り上げられ、名指しこそされないものの、吊るし上げ状態にされる。© 大原由軌子/文藝春秋

──タケちゃんの学校には、体罰を行う教師がいたことが本書では指摘されています。いじめと体罰の関連性について、ご意見があれはお聞かせください。

大原 小児専門の精神科の先生に「いじめをしている子は家庭や学校などで何か不満が溜まっていることが多い」と聞いていました。今回の騒動ではタケのいじめの行動について、後半でその関連性が明らかになりました。親の目の届かない場所で、子どもが間違った行動を学んでしまう可能性もあるので、常に親子で話し合える環境を整えることが大事だと思いました。

いじめ騒動がきっかけで、体罰教師に兄弟ともども暴力をふるわれる。© 大原由軌子/文藝春秋