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“モンペ”に対して直接、相手にしてはいけない

──今回、相手の親にモンスターペアレント的ふるまいがありました。”モンペ”への対処法がありましたら、お聞かせください。

大原 加害者側と被害者側が直接学校外で接触しないようにし、学校が公平な場を提供してくれるようにするため、第三者に間に入ってもらうことをお勧めします。マンガの中でも描きましたが、どうしても今の世の中、「声が大きい方」の意見が通ってしまいがちというのは否定できません。専門家からの意見を取り入れることが一番重要だと思います。

謝罪をしたものの、聞く耳をもたず……その後、被害者の母親は以前から長男に言葉の暴力をふるっていたことが判明する。© 大原由軌子/文藝春秋

──いじめ騒動を振り返って、同じ境遇の親御さんへのアドバイスをお願いします。

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大原 加害者側の立場としては「相手がいじめと感じたらそれはいじめで、いじめた方が100パーセント悪いのだから、親も子もきちんと謝罪する」べきと考えますし、被害者側の立場になったときは、いじめた側の相手を責め立ててつぶすのではなく、「子ども同士が仲直りし、元の健全な関係に戻る」ことをゴールに設定しました。成長過程にある子どもの失敗を恥じるのではなく、一緒に解決していこうと常に子どもに語りかけることが解決への一番の早道だと信じています。

──今回の騒動について、当事者であるタケ君はどう感じているのでしょうか?

大原 両保護者や先生方など大人の方が大騒動になってしまった感がありますが、当事者であるタケたちは子ども同士で仲直りができたこともあって、大人ほどには強烈な印象は残ってはいないようです。騒動から7年経った今は、マンガに登場した子ども達のそれぞれの成長について、楽しそうに話してくれることもあります。

夏休みが終わった後、子ども同士はあっけなく和解した。© 大原由軌子/文藝春秋

──ネット上ではさまざまな反響がありましたが、ご意見をお聞かせください。

大原 いじめ騒動を「ノンフィクション」という形で発表したことで、このマンガを手に取られた方によりリアルな出来事として読んでいただいた結果、賛否両論という形で反響が起こったのだと考えています。架空のキャラクターで同じ内容を描いたのでは、ここまでのお怒りの声も上がらなかったのではないでしょうか。コミックエッセイという形で作品を発表しているので、賛否両論は当然のこととして受け止めています。