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 ほんとに夫はそういう人だった。「信ずるところ臆せず行動する」という気持ちがあったから、公文書改ざんに抵抗し、どんな改ざんをさせられたか「赤木ファイル」という記録を残し、最後は改ざんの真実を記した「手記」を遺して命を絶ったんだろうか?

 次は私が「信ずるところ臆せず行動する」番だ。裁判で臆するわけにはいかない。

マイナンバーカードの裏面に書かれている文言

 裁判を前に私は9月、弁護士お2人とともに近畿財務局を訪れた。夫の個人情報開示について交渉するためだ。財務局の担当者は名刺も渡してくれない。名前を確認したいと伝えると、首から下げているマイナンバーカードを示した。財務省は職員の入庁証としてマイナンバーカードを使っている。夫もそうだったからよく知っている。でも彼らは、その裏側にこんな風に書かれているのを知っているだろうか?

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「記載事項を改ざんした者は、法律により罰せられます」

俊夫さんのマイナンバーカード ©相澤冬樹
俊夫さんのマイナンバーカード ©相澤冬樹

 改ざんを指示した佐川さんも、改ざんのために休日中の夫を呼び出した上司の池田靖さんも、みんな職場でいつもこのカードをぶら下げているのだ。でも改ざんに関わったあの人たちは、誰も法律により罰せられていない。

 面談が始まると財務局の人は「赤木さん、弁護士さんの話をすべて理解しているということでよろしいですか?」と失礼な質問を投げかけてきた。あげくに、私や弁護士さんたちが説明を求める質問にはほとんどゼロ回答で何の成果もなかった。

 私はそれまで近畿財務局を訪れたことがなかった。だから最後に、夫の職場だった部屋をちょっとだけのぞかせてほしいとお願いしたけれど、それもダメだった。上司に掛け合うそぶりすら見せてくれなかった。

 私は相手の発言を記録するため、この時のやり取りを弁護士さんには言わずに録音していた。その音声データをカンテレ(関西テレビ)の記者、諸岡陽太さんに求められたので提供した。カンテレさんはその内容を裁判前日、4日のニュースで10分間も放送枠を使って流してくれた。フジテレビにも全国ネットにするよう掛け合ったけれど、それはかなわなかったそうだ。でも、裁判当日以外にこんなに大きく扱ってくれるなんて、うれしかったし、とても励まされた。

カンテレに映った赤木雅子さん ©相澤冬樹

きょうの弁論で心に誓ったこと

 そして迎えたきょう5日の弁論。私は密かに心に誓うことがあった。国が事前に出してきた準備書面に、国の代理人として14人もの名前が書かれている。訟務検事と呼ばれる法務省の担当者、それに財務省や近畿財務局の職員の名が並んでいるのだが、その中に9月、私と面談した財務局の担当者の名前があるのを見つけたのだ。仮に猫塚さんとしよう。