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 それにしても自分の意向に沿わない官僚を左遷させるエピソードなど独善的な態度があらためて注目されているのに、なぜ「多様性」という言葉をわざわざ使ったのだろう。

 かなりの大技、大ボケを出してきた感がある。

 すると、「関係者に聞いてみると事務方から『多様性』という言葉があがってきて、菅総理が飛びついた」と「NEWS23」(TBS系)でジャーナリストの星浩氏が言っていた(10月29日)。飛びついたという表現はわかりやすい。菅首相は格好がつく理由を必死で探していたことになるからだ。

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©JMPA

無理な言い訳を重ねる「喜劇の法則」

 あのパターンである。最初のミスを認めたくないので無理な言い訳を重ねたらますます事態が大きくなって面白くなる喜劇の法則である。

 首相が大ボケを繰り出すからツッコミもにぎやか。

 日刊スポーツコラム「政界地獄耳」は、

《秘書官のメモなくして答弁できない首相こそ、まずは自分で答えてみる自助をお勧めする。》(11月6日)

 ああ、もうやめてあげて。

《これでは首相は自助ができておらず、秘書官のメモと関係閣僚の時間稼ぎの答弁が共助になっている。》

 首相の持論である「自助・共助・公助」がこういう回収ネタになるとは。フリとオチが鉄壁のガースー。極上の喜劇を国会中継で見せている。いま一番面白い人は菅首相ではないか、と言ってみたのはそういうワケである。

安倍首相には助言する側だったが…… ©文藝春秋

 しかしやはりというか笑えないヤバい話も新たに出てきた。

政府と学術会議、17年に事前調整 首相「候補推薦前」』(日経WEB11月6日)

《菅義偉首相は6日の参院予算委員会で、2017年に日本学術会議が候補者を推薦する前に人事を事前調整したと明らかにした。「推薦前に任命についての考え方を擦り合わせた」と話した。》

 以前は学術会議が正式の推薦名簿を提出する前に「調整」していたが、今回は「調整」がなかったから任命しなかったというのだ。

 これ、ふつうに「介入」の話をしているではないか。