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「G20で木のストローを使いたい」“住宅メーカー”が木製ストロー開発で脚光を浴びた理由とは

『木のストロー』より #2

2020/11/17
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プレゼンでのトラブル

 いよいよ、私たちの番である。用意していたパソコンを、プロジェクターにつなげる……はずがつながらない。

 え、パソコンとケーブルが合わない!?

 何とかつなげようと試みたが、やはり、パソコンとケーブルが合っていない。変な汗が出て、時間がどんどん過ぎていく。でも、こういうときのために、あと2台、パソコンを用意していた。

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 私が、別のパソコンを大急ぎでつなげている間、社長は、持参した木の製品を、大臣の目の前に並べ、話し始めた。大臣はびっくりされていたが、ようやく無事にパソコンがつながり、木のストローの説明をすることができた。

©iStock.com

 結局、15分くらいお時間をいただいてしまったと思う。

 大臣からは、「ぜひ、木のストローを推進してほしい」と温かいお言葉をいただいた。実は原田大臣は「木の総合文化(ウッドレガシー)を推進する議員連盟」の幹事長をされていて、「木育」という言葉の普及にも力を入れておられた。

 そして、6月の環境閣僚会合(G20持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚会合)に、「G20 KARUIZAWA」という刻印入り木のストローを、3000本提供させていただくことになった。

公的機関からの問い合わせ

 さらに、農林水産省や省内の林野庁、国交省などからも問い合わせが入るようになった。

「木のストローを見せてほしい」

「会議に提供してもらえないか」

「木のストローを使って、G20で何かできるか」

 20の国と地域の首脳などが参加する「第14回金融・世界経済に関する首脳会合(大阪サミット)」が6月末、これをはさんで、前後にさまざまな関係閣僚会合が開かれることになっていた。

 5月の農業大臣会合を皮切りに、6月初めの財務大臣・中央銀行総裁会議、貿易・デジタル経済大臣会合と6月半ばの環境閣僚会合を経て、9月の労働雇用大臣会合、10月の保健大臣会合と観光大臣会合、11月の外務大臣会合と、年末近くまで続いた。

 そして、これらすべての会合で、プラスチック製品が徹底して排除されるという。それに向け、各省庁の動きが活性化する時期に、木のストローが報道されたことで、興味を持っていただいたようだった。

©アキュラホーム

 このときご連絡いただいた省庁職員のお一人が、その後、大変お世話になる林野庁木材利用課の長野麻子課長だ。こよなく木を愛する長野課長は、愛用のカバンも木製。木のストローのこともとても評価をしてくださり、

「ぜひ、木のストローを推進していきましょう」

 と言ってくださった。さらにG20での採用に向けて、林野庁から全省庁に売り込んでくださるという。