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「G20で木のストローを使いたい」“住宅メーカー”が木製ストロー開発で脚光を浴びた理由とは

『木のストロー』より #2

2020/11/17
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 SDGsへの関心が高まり、多くの企業でプラスチックの削減が目指されている昨今。大手飲食チェーンの一部ではプラスチック製ストローの廃止が進められている。その動きに呼応したのはなんと住宅メーカー「アキュラホーム」だった。彼らはいかにして木製ストロー開発で大きな注目を集めることができたのだろう。

 功績の陰に隠れたさまざまな苦労をアキュラホームの広報担当・西口彩乃氏の著書『木のストロー』より引用し、紹介する。

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G20に向けて

 4月に入ったばかりの頃、当時、環境大臣政務官だった衆議院議員の勝俣孝明さんが、アキュラホームにいらした。それは本当に突然のことだった。

 日経新聞で木のストローの記事をご覧になったそうで、社長と話がしたいと、秘書の方を通じてご連絡をいただいたのだ。政務官の方が社にいらっしゃることなど、私には初めてだった。おそらく社としても初めてのことだったと思う。ご用件は木のストローに関してということしかわからず、それ以上の目的をうかがっていいのかもわからなかった。

 社にいらした勝俣政務官は、気さくで明るい感じの方だった。まず、社長がこれまでの木のストロー開発についての説明をし、それから勝俣政務官が、

「G20で、木のストローを使いたい」

 とおっしゃった。

©iStock.com

 今年は、日本が初めて議長国となるG20があり、海洋プラスチックごみ問題は大きな議題の一つであるという話だった。また、史上初となる環境分野とエネルギー分野の閣僚会合が6月に長野県の軽井沢で行われる。そこでも、木のストローを使いたいといったお話をうかがった。

 G20ってなんだっけ……。

 隣で聞いていた私は、まずそう思った。ニュースで耳にすることはあったが、実はさっぱりイメージが浮かばない。

 20か国……? 首脳会合? 閣僚会合? え……?

 あとで大急ぎで調べると、日本で初めて、20か国の首脳が集まる大変な会議だということがわかった。しかも、SDGsや海洋プラスチックごみ問題が主要テーマになっているという。

日本の技術、環境問題への貢献を世界にアピール

 そこで、木のストローが採用されれば、日本の技術も発信できるし、環境問題に貢献できるものだということもアピールできる。

『木のストロー』

 20か国のトップが一気に日本に集まるチャンス! すごいタイミングだ!

 絶対に使っていただきたいと、強い思いが湧いてくるのを感じた。

 翌月、勝俣政務官のご尽力で、当時、環境大臣をされていた原田義昭議員と、宮沢社長が意見交換させていただくことになった。社長もこんな経験は初めてだそうだ。

 意見交換では、短いプレゼンをすることになっていた。万全の準備をし、当日、社長と一緒にうかがう。

 その日は、アキュラホームを含め3社が来ていた。私たちは最後で、1社につき持ち時間は5~10分程度。前の2社は、それぞれ5分ほどで簡潔に終わった。