現在発売中の「Number」はダルビッシュ有大特集です。特集されるにふさわしい今年の活躍でしたが、今年の話だけにとどまらないのが「Number」らしいところ。シカゴ・カブスのダルビッシュ有のみならず、テキサス・レンジャーズのダルビッシュ有も2009年侍ジャパンのダルビッシュ有も、12歳で入団した羽曳野ボーイズのダルビッシュ有もいる特集です。もちろん、北海道日本ハムファイターズのダルビッシュ有も。
「鶴岡慎也が選ぶダルビッシュ有ベストゲーム」も知りたかった
建山義紀はレンジャーズの先輩としての登場ですが、トレイ・ヒルマンが18歳のやんちゃ坊主を回想し、武田勝と森本稀哲と坪井智哉がファイターズでの彼のベストゲームをそれぞれ選んでいるのです。これはF党必読でしょう。ただこうなると却って贅沢になるというか、何でこの人選に鶴岡慎也は入ってないんだろ?とも思ってしまったのですね。
《「(田中)賢介が選手会長だったとき、ぼくが副会長、会計を鶴岡(慎也)、その補佐を有がやっていました。納会前には4人で居酒屋の個室に集まり、ゴルフ大会の組分けや部屋割りを決める。選手同士の相性に配慮しないといけないので、これがかなり難しいわけです」
部屋割りを担当した鶴岡とダルビッシュは淡々と作業を進め、ひと足早く完了。ゴルフの組分けで悪戦苦闘する、田中・森本組のサポートに加わった。》
森本稀哲の語る思い出です。こんな風に試合の外でもバッテリーだったのですから、「鶴岡慎也が選ぶダルビッシュ有ベストゲーム」も知りたかったなあ。いやほんと、何で彼に訊こうとは思って下さらなかったのですか「Number」編集部様。2009年の日本シリーズについての記事に彼の言葉もありますけれども、梨田監督に吉井コーチ、対戦したジャイアンツの打者達に原監督、そういう何人もの中の1人という扱いでしたから。
今年1月、webメディアの「REAL SPORTS」で、今回の「Number」にも登場しているrani氏とダルビッシュ有の対談を読んだのです。その中でrani氏が、日本人選手で組みたいキャッチャーを挙げるとすると誰ですかと尋ねました。この「組みたい」はより正確に言うと「組んでみたい」だろうと思うんです。未知だけど興味がある、投げてみたいと思う選手はいるかと、そういう質問。ところが言うに事欠いて、やっぱり鶴岡選手じゃないですか、と即答しやがったのでした。全くもう。
サイ・ヤング賞の最終候補に残るまでになった投手をして未だに、やっぱり一番思い入れがあると言わしめるプロ18年目のベテラン捕手……にしてはどうもいまひとつ「重鎮」感が薄いんです。小柄で童顔なものだから、何年経ってもあんまり年とった感じがしないんですよね。ずっと若い西川遥輝や中島卓也でさえそこはかとなく「おっさん」の気配を漂わせつつあるというのに、彼は選手名鑑の写真も毎年同じでいいのではと思うほど。「Number」編集部にスルーされたのもそこんところじゃないかと勘ぐってます、っていやこれは冗談ごめん鶴ちゃん。と自分で書いて気づきます、「鶴ちゃん」なんだなあと。「鶴岡さん」にならない。
選手会長も務めたくらいで人望があるのは確かなのですが、同時にいじられキャラでもあるんですよね。今シーズンのホーム最終戦となった11月1日バファローズ戦、NHKの中継は、開幕戦でやる筈だった梨田昌孝田中賢介揃い踏みがついに実現したのでしたが、2人が語る思い出話の中でもまあ散々な言われようでした。とにかく打てなかったとか「2番鶴岡」は苦肉の策だったとか。しかもこの試合、本人の出場は最後の9回表にマスクをかぶっただけなんですよ。もしもスタメンだったりしたら、どれだけネタにされたことか。