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千賀、甲斐と同期……元ホークス・中原大樹が“きくらげ農家”に転身した理由

文春野球コラム クライマックスシリーズ2020

2020/11/15
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「ホークスに居たなんて胸を張って言えないと思っていた」

――ところで現在、野球とのかかわりは?

「ホークス戦はめちゃくちゃ見ていますよ。リーグ優勝が決まった試合も納品している焼き鳥屋さんで常連さんたちと観戦して『やったー!』って一緒に喜びました。同級生たちの活躍も本当に励みになっています。千賀や甲斐、本当にすごいなと思いながらテレビで見ています。牧原からは『きくらげ食べたい』ってメッセージが来たので送りました。あと内川さんや細川さん(ロッテ・今季限りで引退)にも食べてもらいたくて送りました。僕が現役時代、怪我でリハビリをしていた時に、お二人もたまたま故障で一緒に練習した時期があって。すごくお世話になって、その後も気にかけて下さった先輩方なので」

 プロ野球界で長くプレーをし、間違いなく全国各地で美味しいものもたくさん堪能してきたはずの二人でさえも「生きくらげは初めて」と驚いたという。先日、内川に味の感想を訊いたところ「湯がいてお皿に盛りつけるだけ! お刺身のようにわさび醤油で食べるんです。めちゃくちゃ美味しかったですよ。僕はごま油で食べるのも好きだったな」と話してくれた。

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 中原さん自身、元ホークスの選手であることに一時は抵抗があったという。

「育成選手でしたし、大したというか全く活躍していない。そんな自分がホークスに居たなんて胸を張って言えないと思っていたんです。だけど、前職の時もそうでしたが、周りの方は結構知ってくれていて、声もかけてくれました。きくらげ農家を始めて、最初に声を掛けてくれた今宿駅前の飲食店の方もホークスファンだったし、香椎のお店の方も『元ホークスの人がやっているから応援せんといかん』って電話をくれたり。博多の方の焼き鳥屋さんも最初は乗り気じゃなかったけど、今では2日に1回注文が入る。美味しいと喜んでいただけるのが、僕のやりがいになっています」

 今後は菌床の数をさらに増やして、ビニールハウスも増設していきたいと夢を描く。また、きくらげの栄養価の高さは先述したが、豊富な食物繊維、さらにビタミンD含有量はトップクラス。免疫力サポート、風邪予防、鉄分補給、貧血予防と様々な効能が期待でき、アスリート食としても最適だという。ホークスの若鷹寮の食事にも、きくらげは頻繁に提供されているという。

 中原さんのきくらげが若鷹のパワーの源になる日も来るかもしれない。ホークスに限らず、各プロ野球チームの関係者、その他スポーツ、学校部活の関係の皆さんにも是非是非興味を持ってもらいたい。

 ちなみに現在は、店頭販売はなく通販のみ。「結樹農園アグリス」にて。

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