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「もう若手ではないので」24歳の清水優心選手は“原点”を思い出せるか

文春野球コラム 日本シリーズ2020

2020/11/26
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失敗を「いい経験」と言ってもらえる時期は終わった

 ファイターズは2018年の田宮裕涼選手、去年の梅林優貴選手、そして今年の上武大学・古川裕大選手と3年連続でドラフトでキャッチャーを指名している。正捕手が定まらないことの現れともいえるかもしれない。いまは、一人の捕手が毎日出る時代ではないのかもしれないけれど、でもやっぱり出場試合数はその選手の評価に繋がっていく。

 キャッチャー出身でファイターズ戦を中心に解説をされている大宮龍男さんがよく仰るのだ。「打てよ! 打てるようになったら出してもらえるんだよ!」と。

 キャッチャーが上位打線にいるチームは強い。チームの頭脳が打席でその時の生きたボールを見て試合の空気を感じてリードに反映させる。それはどんなAIにも出来ることではない。

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 覚悟を決めた清水選手は1月には鹿児島県・徳之島に行くことにしたという。3年先輩の近藤健介選手が中心となって毎年行っている「TEAM 徳之島」と呼ばれる自主トレ。今年の1月はファイターズからは渡邉諒選手、石川亮選手、淺間大基選手、平沼翔太選手、今井順之助選手が参加した。かつては松本剛選手、上沢投手、樋口龍之介選手も加わったこともあり、もっと遡れば鶴岡慎也選手や紺田敏正選手が自主トレをした場所でもある。

 今までは、春季キャンプの前は鎌ヶ谷で過ごしてきた清水選手の今回の大きな目的は刺激を受けての技術向上にあると思う。「メンタルが弱い」と自ら話す、その部分も鍛えられるヒントを見つけられるだろうか。

 入団した時のチームから送られてきた紹介文を思い出す。「高校通算35本塁打を誇る大型選手、肩の強さだけでなく正確なスローイングが魅力」。原点を思い出すなら今が最後のチャンスなのかもしれない。失敗を「いい経験」と言ってもらえる時期は終わった。骨太の来年の清水選手に期待する。強さは、優しい心を持った人に備わる力だと私は思っている。

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