もはや古典ともいえる1979年公開のアニメ映画『ルパン三世 カリオストロの城』。本作でルパン三世は、緑のジャケットを着ている。そこには本作ならではの明確な主張が込められている。
『カリオストロの城』は、『ルパン三世』シリーズの映画第2作にあたる。前年の1978年にTVアニメ『未来少年コナン』で演出家として一本立ちした宮崎駿が初めて手掛けた映画作品だ。本作の監督を引き受けるため、宮崎はその時参加していた『赤毛のアン』を第15話で抜けており、これ以降、高畑勲監督の下でスタッフとして働くことはなかった。本作は宮崎が本格的に監督の道を歩み始める分岐点となった作品でもある。
「緑」「赤」ルパン“ジャケットの色”のナゾ
『カリオストロの城』が制作されるに至るまでには様々な経緯があった。
まず1967年にモンキー・パンチが発表した原作漫画があり、それをもとに1971年に最初のTVアニメが制作された。当初は大隅正秋が監督し、アダルトなムードでスタートしたが、視聴率が上がらず方針転換が決まる。そこで中盤以降は宮崎駿と高畑勲が演出を担当(Aプロダクション演出グループ名義)することになり、2クールに3話足りない全23話で完結した。
この最初のアニメ作品が再放送で火が付き1977年に新たなTVアニメが始まる。後にさまざまなアニメが制作されることになる『ルパン三世』だが、1977年時点では新旧2つのTVシリーズしかなかったので、シンプルに1971年版は『旧ルパン』、1977年版は『新ルパン』と呼ばれ区別されていた。
『新ルパン』がスタートするにあたって新たに様々な要素が盛り込まれたが、やはり目を引く違いはジャケットの色が『旧ルパン』の緑から原作通りの赤に改められたことだろう。旧作の時、原作と異なる緑が選ばれたのは、当時のブラウン管TVでは赤の色が滲んで見づらかったからだという。
こうして始まった『新ルパン』は大ヒット作となり、3年も続く人気シリーズとなった。この人気を受けて1978年には劇場版第1作『ルパン三世』(吉川惣司監督。後に「ルパンVS複製人間」のサブタイトルがつけられる)が公開される。こちらは『旧ルパン』の序盤を彷彿とさせるハードな作品だが、ジャケットは『新ルパン』に準じて赤だった。