コロナで一時営業休止に追い込まれた映画館。例年多くの集客が見込まれる大型夏休みの中でも、“前後左右で1席ずつ間隔をあける”といった対応を余儀なくされた。

 そんな映画業界にとって苦しい夏に、多くの人が映画館へ行くきっかけとなったのが、スタジオジブリ4作品(『風の谷のナウシカ』『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』『ゲド戦記』)の「異例の再上映」だった。

「#一生に一度は、映画館でジブリを。」というキャッチコピーとともに、SNSを中心に話題に。公開初週の週末に、全国映画動員ランキング(興行通信社)でトップ3をジブリ作品(『千と千尋の神隠し』『もののけ姫』『風の谷のナウシカ』)が独占し、『もののけ姫』は6週連続トップ3入りを果たした。

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 あらためて「ジブリ人気」を印象付けた今回のヒットだが、対象となったのは4作品のみ。スタジオジブリの長編映画はこの他にも18作品がある。

 そこで、文春オンラインでは「<アンケート>あなたが選ぶ『ジブリ映画』ベスト1は?」を実施。13日間で30~60代を中心に、753人の投票が集まった。早速、ベスト5を具体的な理由とともに見ていこう。(※なお1人につき、3作品を選び〔1位5点、2位3点、3位1点〕、合計得点で計算しています)

 では、ベスト5を具体的な理由とともに見ていく。(6〜20位も公開中!)

【5位 火垂るの墓(1988年公開 脚本・監督:高畑勲) 612点】

 太平洋戦争の最中、空襲で両親を失い、住むところを失った少年・清太と妹・節子が、飢えと戦いながら懸命に生きた日々を描く。節子の好物であり、作中に何度も登場するドロップ缶が印象的。第58回直木賞を受賞した、野坂昭如の同名短編小説が原作となっている。

 今回の再上映企画には入らなかったが、「夏に見るジブリ映画と言えば、これ!」という印象が強いようだ。

「8月になると、『火垂るの墓』を思い出す」(70・男性)

5位『火垂るの墓』

「戦争について考える機会が増える夏に、必ず見ているような気がする」(54・女性)
「色んな企画番組が流れるが、アニメーションにも関わらずここまで的確に“戦争とはどういうものなのか”を表現した作品はない。夏に孫と見るようにしている」(65・男性)

 戦争という悲惨さと残酷さの中で、懸命に生きる清太と節子の姿に「涙が止まらない」と答えた人も多かった。

「涙なしでは観られません。死んだ妹・節子を背負って敬礼している清太の写真が思い浮かびます」(48・女性)
「何度も見ているからセリフも展開も全部わかっているのに、二人の姿を見終わるたびに泣いてしまう」(56・女性)
「戦争を知らない僕でも、この映画を見ると今がどれだけ平和なのかを痛感します」(30・男性)

“子どもに見せたい”と薦める人が多かったなかで、「“アニメは子どものもの”という偏見を覆してくれた作品」と答える人も。

「戦争を描く作品としては、アニメに限らず最高傑作だと思う。アニメが子ども向けという価値観を良い意味で覆してくれた作品だった」(55・男性)
「アニメは『子供が観るもんだ』と思っていたが、感動してしまった。それ以来、私のアニメーションへの見方は変わった」(73・男性)

<読者が選ぶ印象的なシーン>

「サクマドロップが大好物だった節子が衰弱している時に、清太に何を食べたいかと聞かれて『またドロップ舐めたい』と答えるシーン」

「全部食べ切って空っぽになってしまったサクマドロップ缶に清太が水を入れて、節子が飲むシーン」