「『@首吊り士』のコンセプトは、殺してあげるというものです」

 2017年に神奈川県座間市で男女9人の遺体が見つかった事件で、強盗、強制性交殺人などで起訴された白石隆浩被告(30)の裁判員裁判が東京地裁立川支部(矢野直邦裁判長)で行われている。

裁判が行われている東京地裁立川支部 ©渋井哲也

知人に自殺に関するメッセージを送っていたHさん

 11月11日は、8人目に殺害されたHさん(当時25、女性)に関する被告人質問が行われた。その中で、白石被告は、同事件でもっとも話題になったと思われる「@首吊り士」のコンセプトについて答えた。一方、Hさんの殺害状況については「覚えていない」を繰り返した。拘置所での筆者との面会時には、「最初の3人以外はあまり覚えていない」と話していたが、同様の発言を繰り返したことになる。

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 冒頭陳述等によると、Hさんは神奈川県内で両親と兄との4人暮らしをしていた。中学2年生のときにいじめに遭い、不登校になった経験がある。中3のときは欠席も多く、卒業に必要な出席日数ギリギリで卒業した。高校は3年生のときに自主退学。その頃から7年間ほど自宅に引き篭もった。2017年4月、コンビニで働くようになった。しかし、同じ頃、知人に対してLINEで、自殺に関するメッセージを送っている。

白石隆浩被告 ©文藝春秋

「死にたい。疲れた。#自殺募集」

 HさんがTwitterを開設したのは2013年10月。2017年10月2日までは、主にゲームに関するツイートが多く、自殺に関連した内容はなかった。しかし、同年10月17日午前1時7分に、「25歳女 神奈川に住んでいます。死にたい。疲れた。#自殺募集」というツイートをする。このツイートを発見した白石被告は、「私がフォローしたか、Hさんがフォローしたかで(DMの)メッセージを送りました」といい、「@終わりにしたい」と、「@首吊り士」の2つのアカウントでやりとりをすることになる。

 ちなみに、白石被告は筆者との面会で、「5つのアカウントを使っていた」と話していたが、「@終わりにしたい」はその中に含まれていない。