「(死ぬのは)本日、希望です」
2017年10月に発覚した、神奈川座間市のアパートから男女9人の遺体が発見された事件で、強盗・強制性交等殺人で起訴された白石隆浩被告(30)の裁判員裁判が東京地裁立川支部(矢野直邦裁判長)で開かれている。11月16日には、9人の殺害に関する証拠調べ、被告人質問、中間論告が終わった。
犯行が徐々にエスカレートしていった
9人目に殺害された東京都八王子市のIさん(当時23、女性)は冒頭の文章をTwitterのダイレクトメール(DM)を送った。Iさんの事件については、他の被害者と違って、白石被告は会う前に殺害を決意している。また、殺害後に遺体を携帯電話で撮影していることが明らかになり、犯行が徐々にエスカレートしていったことがわかる。
冒頭陳述によると、Iさんは、幼少期は引越しを繰り返していた。両親は離婚。中学3年生で不登校になった。高校に進学するが、退学。2014年に統合失調症と診断された。2017年6月、一緒に住んでいた母親が亡くなり、9月からはグループホームに入居。生活保護を受給していた。この頃から投薬治療を始めている。
Iさんは人見知りで、引っ込み思案の性格だ。兄の供述調書によると、病気のため兄以外とは話せず、人との関係を築くのが苦手だった。時に男性は苦手であった。一方、兄とは頻繁にLINEのやりとりがあった。Iさんは「寂しくてTwitterで話をしてしまう」と兄に話をしていた。
〈部屋はロフトがあるので、首吊りがしやすいです〉
そんな中、9月20日、IさんはTwitterで、こうつぶやく。
〈#自殺募集 死にたいけど、一人じゃ怖いので、一緒に死んでくれる人いませんか?〉
このツイートに、白石被告とは別の5つのアカウントとやりとりをした形跡がある。
このころ、白石被告は複数のアカウントで「死にたい」「寂しい」「疲れた」などと呟いている女性を物色していた。白石被告は9月22日、「@死にたい」というTwitterアカウントからIさんに「ご一緒に死にませんか?」とDMを送った。これに対して、Iさんが返信することはなかった。
しかし、Iさんは、10月2日になってから「@死にたい」にDMを送った。このとき、白石被告はこんなメッセージを送った。
〈薬やお酒で恐怖を和らげて、首吊りはどうですか? 部屋はロフトがあるので、首吊りがしやすいです〉
このやりとりの後、IさんはDMを送っていない。しかし、3週間後の10月23日になって、Iさんは「@死にたい」にいくつかDMをする。
〈本日、希望です〉
〈所持金は1000円しかありません。(首吊りの)道具は(持参しなくて)大丈夫でしょうか?〉
〈どこ住みですか?〉
〈男性ですか?〉