「金払いがいいので、帰そうと思っていました。しかし、寝ている姿を見て、レイプしたくなりました」

 2017年に神奈川県座間市のアパートで男女9人が殺害された事件の裁判員裁判で、10月28、29日、福島県の女子高生・Fさん(当時17歳)が殺害された事件の証拠調べと白石隆浩被告(30)の被告人質問が行われた。

白石隆浩被告 ©️文藝春秋

家族や容姿、恋愛などで悩んでいた

 タクシー代や飲食代を支払うFさんから、お金を引っ張れるかどうかを見極めている最中だったにもかかわらず、「寝ている姿を見て興奮した」などと語り、これまでの殺害動機とは違う話をした。また、Fさんの友人たちが、白石被告の家に行くことを止めていたことも明らかにされた。

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 冒頭陳述によると、Fさんは家族や容姿、恋愛などで悩んでいた。これまでにも家出の経験があり、小学生の頃、父親の母親に対しての暴力を目撃したことがきっかけだった。このときはすぐに警察に保護されている。高校生になってからも家出をしている。1回目は、Twitterで知り合った友人宅の家で過ごすが、警察に保護された。母親の叱責を理由に、高校2年のときにも家出した。この時もネットで知り合った女性の家にいた。3回目が事件前日、9月27日だった。

 Fさんは、2017年9月18日、「首吊りか練炭希望です。つりじゃないです。#自殺募集 #自殺オフ #集団自殺」などとツイートしていた。このツイートに反応したのが白石被告だった。ただ、2人のダイレクトメール(DM)のやりとりは証拠提出されていない。

「まず、会ってお金を引っ張れるか」

 Fさんが、追跡を避けるためにアカウントを削除している。白石被告も「@首吊り士」というアカウントでやりとりしていたが、「Fさんの殺害後に消している」と答えている。理由については、証拠隠滅ではなく、「他の人とのやりとりが重なって、単純に邪魔だから」としている。そのため、2人がどんなやりとりをしていたのかは明らかにされていない。

白石被告が使用していたTwitterアカウント

「最初のDMは9月末だと思います。28日からはLINEのやりとりが始まります。少なくとも、DMはその1日か2日前にやりとりしていると思います。まず、会ってお金を引っ張れるか、引っ張れなければ、レイプし、殺害し、所持金を奪おうと思いました」

 DMのやりとりで覚えていることもあるという。それは「頸動脈洞反射」というキーワードだ。このとき使っていた「@首吊り士」というアカウントは、首吊り自殺に詳しく、自殺幇助をする、もしくは、同意殺人をするという設定だ。そのため、首吊りした場合に起きる現象である「頸動脈洞反射」について、Fさんから聞かれたときに、白石被告はそのことを説明したという。