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「私が死ぬのを見届けてから、後から追ってくれる」

 そんなやりとりをしながら、Fさんは9月27日11時すぎに、福島駅から高速バスに乗り、17時過ぎに東京駅八重洲口に到着する。同日は、ネットで知り合った別の男性の家に宿泊。28日の正午過ぎに、相武台前駅で集合する。

Fさんは、高速バスで東京駅八重洲口に降り立った ©渋井哲也

 Fさんは、高2の時に家出をした先の女性に、9月17日、LINEのやりとりで、容姿のこと、恋愛のこと、仕事のことなどの悩みをあげて、「何もかもがうまくいかない。一人でいるのが怖い」などとメッセージを送っていた。その後、9月25日、「首吊り士に会う。一緒に死んでくれる人であり、私が死ぬのを見届けてから、後から追ってくれる人」と話していた。その後、「28日に、首吊り士に会う」ともLINEしていた。その女性は何かあるかもしれないと思い、当時のFさんのTwitterをスクリーンショットで保存した。

 相武台前駅で集合すると、白石被告はFさんと2人で駅前の吉野家へ行き、牛丼をテイクアウトして、自宅に向かった。

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「Fさんから『ご飯食べましたか?』と聞かれたので、『食べていない』と言うと、『どこかで食べませんか?』と言われました。近くに牛丼屋があったので、2人で店に入りました」

 このときの姿が防犯カメラに写っており、法廷のモニターに示された。Aさん、Bさん、Cさんを殺害するときには、距離を離して歩いていたりしていた。すでに5人殺害しているが、警察が聞き込みにこず、逮捕もされていないことで油断していたという。また、このとき、白石被告は「お金がない」とストレートに話した。すると、Fさんは「私が払う」と言った。そのため、2人分の牛丼は、Fさんが支払っている。

タクシー運転手は「恋人同士のようにも見えた」

 その後、白石被告のアパートに行った後も、15時47分、アパート前から駅前のセブンイレブンまで行き、スイーツなどを購入した。コンビニでの代金やアパートまで戻った際のタクシー代はすべてFさんが支払っている。タクシーの運転手の証言では「男性が支払った」とされているが、そのお金はFさんのものだった。しかも、運転手からは「いちゃいちゃしているように見え、恋人同士のようにも見えた」というほど話が弾んでいた。

©iStock.com

 こうしたことから、白石被告は「お金を引っ張れるか」を見極めていた。

「悩みを深掘りしていましたが、容姿のこと、恋人のことでした。悩みを解消してあげようと、容姿を褒めました。会う前は、死にたいなどの話はありましたが、会ってからはそうした話は出ませんでした。スイーツもかたっぱしから買い、衝動買いをすることでストレス発散をするタイプの子だと思ってました。

 金払いもいいので、お金を引っ張れるのではないかと思いました。17歳で、居酒屋のバイトと聞いていました。当時の家賃が安いので、月に5万から10万あれば、生活ができました。そのため、Fさんからは月5000円から1万円引っ張ることができればいいと思っていました」