文春オンライン

「CAを辞めた人がマナー講師になる」は本当か? ウワサの真相を聞いた

2020/11/19
note

「当時と現代に共通しているのは、その時代の“憧れの職業”がマナーを語る、という構図です。茶道、華道の美しい所作や礼儀正しさ、華やかさなどCAに通じるものは多いですよね。昔は茶道や華道が花嫁修業の定番で、茶道家や華道家が身近な存在でした。お茶やお華が縁遠くなった今、その役割がCAに変化した可能性が高いです」

マナーは時代とともに変化する

 そして、マナー講師の出自が変わるように「マナーそのものも変化している」と、石原氏は話す。

「もともと、マナーにはっきりした正解はありません。本来のマナーは、その場を和やかに保ったり、相手や自分が不愉快にならないために使ったりする、便利な“道具”なんです。なので、時代によっても変化するし、教える人や使う場面でも意味合いが変わるもの。

ADVERTISEMENT

 その本質を理解できていない人が『このマナー講師が言っていることはマナー違反だ』なんて、ネットで批判しているのが現状です。裏を返せばマナーの正否を追求する行為自体が、マナーに反していますよね。とくに最近は、マナー警察が多いように感じます」

(写真はイメージ)©️iStock.com

 警察になってしまった人々が“マナーの呪縛”から解放されれば、炎上は減るのかもしれない。マナーはあくまで相手との関係を良好にするためのテクニックなのだ。

「なかには、マナーの存在自体を否定する人もいますが、マナーを身につけていてよかった、と思う人はたくさんいるはず。企業側も、新社会人に基本的なビジネスマナーを教えてくれる講師の存在には助けられているので、今後も需要はなくならないと思います」

 そして、CA時代に培った“メンタルの強さ”は、マナー講師にとって大きな武器になるはず、と石原氏。

「マナー講師には、受講生に怯まず対応するメンタルの強さが必須です。その点、現役時代に理不尽なお客さんに対応してきたCAたちは、精神的にも強く、対応力もある。ちょっとやそっとの批判や炎上では凹まないメンタリティも持ち合わせている可能性は高いですよね」

(写真はイメージ)©️iStock.com

 技術だけでなく、精神面の強さを兼ね備えたCA。彼女ら彼らがセカンドキャリアとしてマナー講師の道に進むのは、ある意味で必然なのかもしれない。

本当に必要とされる最強マナー

石原 壮一郎

日本文芸社

2018年5月26日 発売

「CAを辞めた人がマナー講師になる」は本当か? ウワサの真相を聞いた

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー