「頭にネジ突っ込むぞ」「山に連れて行くぞ」。東京・六本木の路上に止めた車内で、そんなセリフを吐いて、知人男性から現金200万円を脅し取った恐喝容疑で逮捕されたのは、「半グレ」グループの1つ「新宿ジャックス」のメンバーだった。
11月12日の報道で明らかになったこの事件。警視庁に恐喝容疑で逮捕されたのは、業界では名の知られた同グループのリーダー格の2人。今年7月、被害男性が電話に出なかったことに因縁をつけての犯行だったという。
いま「半グレ」による凶悪な犯罪が後を絶たない。暴力団ほどの組織性はないが、暴走族OBらを中心にした緩やかな組織を保つ「半グレ」。ときに暴力団以上の凶暴性を発揮するだけでなく、近年は振り込め詐欺などで活動資金を得ているとみられている。
警察当局は現在、半グレを暴力団にならぶ組織犯罪と認識し、強力な取り締まりを進めている。今回の逮捕もその一環といえるだろう。
警察が「半グレ」を強く意識したあの事件
警察当局が「半グレ」という存在を強く意識したのは、あの大物芸能人をめぐる事件だったという。組織犯罪対策を長年担当している警察当局の幹部が解説する。
「半グレが大きくクローズアップされたのは『海老蔵殴打事件』だろう。ヤクザではないが、粗暴な連中の集まり。容赦なく暴力を振るうことから、警察としても徹底した捜査が求められた」
幹部の語る「海老蔵殴打事件」とは2010年11月に発生した、人気歌舞伎役者の市川海老蔵が殴られて重傷を負ったことを指す。
事件があった日の晩、すでにアルコールが回り泥酔状態の海老蔵が東京・西麻布のバーに立ち寄った。ここで他の客と酒食をともにして楽しく過ごすどころか、アルコール度数の高いテキーラを灰皿に入れて周囲に飲ませるなど、行儀の悪さが止まらなかったという。