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事務所も会合もない……ヤクザとは全く違う

 半グレを「準暴力団」と位置付けたものの、警察当局の活動には限界がある。捜査幹部が解説する。

「半グレを準暴力団と定義したのは、『暴力団に準ずる危険なグループ』だとして、重点的な捜査対象としたということ。しかし『準暴力団』を取り締まる法律が特別にある訳ではないので、指定暴力団に対してのように規制の網をかけられない」

 暴力団の場合、暴力団対策法に基づいて『指定暴力団』と認定されると、繁華街の飲食店などからの『みかじめ料』の徴収を禁止され、対立抗争が起きた場合には事務所の使用制限もできる。さらに、対立抗争が激化すれば『特定抗争指定暴力団』となって、警戒区域でおおむね5人以上で集合すれば即座に逮捕できるのだ。

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(写真はイメージ)©iStock.com

 しかし、準暴力団にあたる半グレは、暴対法や暴力団排除条例の規制対象ではない。警察当局は、殺人や恐喝、詐欺、覚醒剤取締法違反など個別の事件で、刑法や特別法を適用し、摘発していくことになる。

 準暴力団としての半グレに対する警察当局の情報収集について捜査幹部が解説を続ける。

「準暴力団といっても、半グレは“組織性があるようで無い”。ある事件についてはグループが組織的に実行したとしても、別の事件では複数のグループのメンバーが個人的なつながりでばらばらに集まり事件を起こすということが珍しくない。暴力団のようなきっちりとした組織がないため、厄介な存在だ。基本的には事務所もないし定期的な会合もない。ヤクザとは全く違う」

 半グレと警察当局の水面下での駆け引きがいまも続いている。(敬称略)