「いまの若い不良は楽をして稼ぎたい。そうなると親分との盃に始まり、しきたりの多いヤクザになるのは損ということになる。大きなシノギ(資金源)を手にすることが出来るなら『半グレ』でいいのだろう」
そう語るのは、首都圏で活動している指定暴力団の古参幹部だ。
暴力団業界が、1992年に施行された暴力団対策法、2011年10月までに全国の自治体で整備された暴力団排除条例の規制の影響で縮小傾向にある。さらに暴力団組員の高齢化も進む中、「半グレ」は増加している。
警察当局が「準暴力団」と定義づけている半グレは、「全国で約60グループが存在し、構成メンバーは約4000人」(警察当局幹部)とされる。
警察庁の最新データ(2019年末)によると、全国の暴力団構成員は約1万4400人。このうち最大組織は山口組の約4100人、次いで住吉会が約2800人だ。暴力団の場合、準構成員(全国で約1万3800人)の活動が確認されているため単純に比較はできないが、「半グレ」の構成メンバー約4000人という数字は山口組の構成員数に匹敵し、国内2番目の住吉会よりも多いことになる。
「警察としては、約4000人の半グレのメンバーに対してナンバリング登録を行っている。そしてリーダー格と構成メンバーについての基礎的な情報収集、さらに活動実態、資金源などの解明に力を入れている」(警察当局の捜査幹部)
まさに、規模の上でも「準暴力団」と呼べる存在となっているからこそ、警察当局は厳しい視線を向けているのだ。