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「事務所の中では希望通りの挑戦ができない」問題

 そして「ジャニーズの枠を超えて新しいことに挑戦したい≒ジャニーズ事務所の中では希望通りの挑戦ができない」という問題は、山下ひとりには留まらない。ジャニーズ事務所の中で30代から40代にさしかかり、次のステップを本気で考え始めた年長世代は、多かれ少なかれ同じような悩みを抱いている。

 近年ジャニーズを退所したタレントの例を見ても、渋谷すばる(39)や錦戸亮(36)、あるいは来年3月末で退所予定の長瀬智也(42)のような、“自己追求型”の離脱が増えている。

 ジャニーズ事務所もネットや海外など新しい分野への進出を模索しているが、中心は滝沢がプロデュースする若いジャニーズJr.たち。Jr.ならば5年、10年という長期的なプロジェクトが可能でも、35歳になった山下や上の世代にとってはそのゆったりとしたペースを待つことは難しい。

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山下智久 2020年2月7日の本人インスタグラムより

 ジャニーズでは“ファミリー”という部分が強調される。グループ活動も、ジャニーズJr.の育成の仕組みもそうだ。現実社会の中で、家庭、学校、地域といったコミュニティの力が弱まる中で、SMAPや嵐は理想的な「ファミリー集団」として支持されてきた。

 しかし、テレビからネットに文化の中心が移るにしたがって、ジャニーズもこれまでの日本的なエンタメの形を脱して、海外やネットに本格的に目を向けざるを得ない時代が到来した。山下智久の退所が示したのは、「エンタメの新しい形」を求める点では同じでも、その方向性やタイムリミットは個人によって大きく違うということだ。

2019年5月22日のインスタグラムでは、ウィル・スミスとのツーショットを投稿

 K-POPが躍進し、アイドルの世界もグローバル化が進んでいる。その中で、ジャニーズをジャニーズたらしめてきた「伝統」をどこまで維持するのか。どれだけのスピードで新しい形に適応できるのか。ジャニーズが直面する難問の答えは、まだ見えていない。