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東方神起・ユンホの愛読書『1cmダイビング』 なぜ、コロナ禍に苦しむ韓国の人々に“刺さった”のか

2020/11/19
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2号(ムンジョン)の日誌 「そんなものがあれば苦労しない」

 iPhone にスクリーンタイムという機能がある。1 日の間にどれだけスマホを使ったかという機能なのだが、この機能について、「自分のスクリーンタイムをチェックしたら“4時間” と表示されて反省しきりである」といった誰かのツイートを見かけたので、試しに私も自分のスクリーンタイムを確認してみた。6時間。まだ夕方にもなっていない明るい時間だった。乾いた笑いしか出なかった。

 ある日は8時間、またある日は10時間もスマホをいじっている私であった。

  1号が言うように猫は本当にかわいいと思うし、野良猫なんかに出会った日にはスマホはただ、彼らのかわいい姿を撮影する道具になる。しかしだ。スマホ以上に楽しいこと? 

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「私……そういうものありませんよ」。目の前で熱弁をふるっていた1号が意気消沈していくのを感じた。当然だろう、私にそんなものがあれば日がな1日スマホに支配されることなんてあるわけないじゃないか、と言ってやりたい気持ちは山々だったけど、のっけから水を差すわけにはいかなかった。

GQ KOREA youtubeチャンネル(東方神起・ユンホ)

 

「私がスマホから手を離す瞬間っていつかなあ?」

 ビールを飲むとき。違うな。それだけじゃあ弱い。私は片手にビールを持ったなら、もう片方の手では必ずスマホをいじるほどの中毒者だ。

 ならばビールを飲みながら映画を観るときはどうか。私の大好きなことを2つ選ぶなら映画とビールだからだ。たしかによく考えてみると、その2つを同時に行っている間だけはスマホを見ていなかった。映画を観ながら飲むために買ってきた缶ビールを冷蔵庫にしまうときほど、充実した瞬間ったらない。

 スマホより楽しいこと。のどかな平日の午後、カフェで1号と向かい合って、こんなことを探り合っている状況は、妙に居心地が悪い。だけど私は日誌には、こう書き留めることにした。

「後で家に帰ったら缶ビールを1本飲みたい。ずっと先延ばしにしてきた『レミーのおいしいレストラン』を観ながら」