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連載文春図書館 ベストセラー解剖

韓国で45万部の大ベストセラー 怒りや恐怖を感じられない少年の物語「アーモンド」が日本でもウケる理由

『アーモンド』(ソン・ウォンピョン 著)――ベストセラー解剖

2020/06/17
『アーモンド』(ソン・ウォンピョン 著/矢島暁子 訳)祥伝社

 扁桃体(アーモンド)が人より小さく、怒りや恐怖を感じられない少年・ユンジェ。優しい母と祖母はそんな彼に、「喜」「怒」「哀」「楽」の感情を丸暗記させ、普通の生活を営ませようとしてきた。だが15歳の誕生日、通り魔に2人が襲われ、ユンジェは一人きりに。肉親を襲った悲劇にも動じたように見えない彼は、次第に周囲からも浮き始めてしまうが、孤独な不良少年・ゴニと交流を持ち……。

 韓国で累計45万部に達している小説が、日本でも本屋大賞翻訳小説部門受賞をきっかけに大ブレイク。

「韓国ではヤングアダルト向けに刊行され、若者から親世代に支持が広がり、大ヒットしました。その経緯を受けて、日本では逆に大人向けに刊行し、『子供も読める一般書』として広げようと考えたんです」(共同担当編集者の中川美津帆さん)

「読者の8割以上が女性です。年齢層は50代前後の子育てを経験した人が、主人公の親の目線に共感しながら読んでくださることが多いようです」(共同担当編集者の中村朱江さん)

 韓国の文学・エッセイの翻訳本でヒットが続く。

「K-POP人気が土壌を耕してくれている側面はやはりあります。ただ、それだけではなく韓国文学の感情表現のビビッドさが受けている印象です。日本を舞台に描くと違和感がある激しい感情表現も、韓国文学だと刺激的に受け止められるのではないかと」(中村さん)

2019年7月発売。初版6000部。現在9刷7万部

アーモンド

ソン・ウォンピョン ,矢島暁子

祥伝社

2019年7月11日 発売

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