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ANAの現役CAが語る苦境「副業は上限まで働いても月4万弱」「五輪で大量採用が仇に」

2020/11/23
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 先日発表された「ANA社員の出向」についてもネットニュースで知った、と斉藤さん。ANAホールディングスだけでなく、JALもグループ外の企業や自治体への出向を検討しており、航空業界全体で社員の出向を推進していくという。

「12月から徐々に会社から出向する社員が指名されていく予定ですが、誰が行くとかどこに行くとかはまったくわからないです。ネットニュースで見るかぎり、出向先は地上職の業務と親和性が高いから、グランドホステスなどの地上職の人たちが適合しそうだけど、現場の実感としては人手が余っているのは明らかにCAです。とくにこの数年は、東京オリンピックに向けて大量採用していたのが仇になっているように思います」 

CAの副業は敬遠される

 もうひとつ、ANAが新たに打ち出したのが“副業の規制緩和”。パイロットやCAを含んだ全従業員1万5000人を対象に、勤務時間外ならば、ほかの会社と雇用契約が結べるように制度を見直しているという。アルバイトができれば収入が増えるが、斉藤さんは「副業が解禁されてもあまり意味がない」と話す。

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「会社が提示した副業時間には制限があるんです。制限時間いっぱいに働いても、時給に換算すると4万円弱ほど。とてもじゃないですが、減収分は補えません。また、他社のCAに聞いた話ですが、CAは海外に行くので感染リスクが高いと思われ雇うことを懸念され不採用になった話を聞きました」

 日本をはじめ、海外でも新型コロナの流行は収束していない。現状では、なかなかCA採用はないと思われる。