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――真っ先にお金?(笑)

下田「はい。そこから家族だったり兄弟だったり、今までネタを作って来た時間だったりを振り返っていたら、あんな表現になりました」

九条 「関西で芸人を始めた以上、関西の賞を1つは獲りたいという気持ちが強かったんです。昨年の『M-1』を観て、優勝したミルクボーイさんと同じ場で戦っても勝てないと実感したこともあって、『M-1』優勝よりも先にこっちを獲ろうと頑張ってきました。優勝したことで、僕たちが面白いと思っていることが証明できたのは大きかったと思ってます」

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 ©文藝春秋

 コウテイが全国区で活躍するようになった1つのきっかけがこの優勝だ。同賞は、現在バラエティ番組を席巻している千鳥やかまいたち、『キングオブコント 2020』優勝のジャルジャルも受賞した、芸歴10年目以下の芸人が参加できる歴史ある登竜門的な大会で、彼らは2度目の決勝進出でその頂点に立った。

「漫才で評価されたいとずっと思ってました」

――芸風的に賞レースを意識していないと思われがちですけど、優勝へのこだわりは強かったと。

九条「僕はいっちばんありました」

下田「いっちばん?」

九条「いっちばんあります。テレビのひな壇でおもろいことももちろん大事ですけど、僕は漫才で評価されたいとずっと思ってましたから。だって、いい曲を書けないミュージシャンはミュージシャンとはいえないでしょ? それと一緒で、いいネタが書けない芸人は芸人じゃないっていう思いが根底にあったので、どうしても僕らの……曲を……響かせ……たいなって......」

 ©文藝春秋

――段々、声がちっちゃくなっているのはなぜですか(笑)。

九条「ボケていいのかわからなくて」

――ボケてくださっていいですし、真面目な話もご遠慮なく。

「お客さまを前に5分間好きなことしていいなんて最高」

九条「わかりました。テレビの仕事も好きです。けど、わざわざお金を払って劇場に観に来てくださるお客さまを前に5分間、好きなことしてもいいって言ってもらえるなんて最高じゃないですか。その方の人生の5分を僕たちが占領できる。おもんなかったなぁって言われても嬉しいし、めっちゃおもろかったって言われても嬉しい。そんな時間があることがすごく快感なので、これからも大事にしたいなと思ってます」

下田「まぁ、目の前の人を笑かすだけですよね」

 ©文藝春秋

九条「かす? 笑かす?」

下田「間違ってはないやろ(笑)。僕も賞レースの結果は欲しかったですし、1番になれたのはもちろん嬉しいです。でも、何よりも笑ってもらいたいという気持ちを大事に、僕はやっています」