「……長く熟成させたワインのほうが香るじゃないですか」
下田「今、口からすーーって息吸う音が聞こえたぞ? また危ないこと言いそうやな!」
九条「……長く熟成させたワインのほうが香るじゃないですか」
下田「ポエムタイプやったー! よかったーー!!!」
九条「(笑)。時間がかかった分、ワインっておいしくなる。芸人も一緒で、早摘みされるとすぐダメになる。僕らももちろんまだ早いほうやと思っているので、これからさらに積み重ねて熟成していきたい。継ぎ足しておいしくなる秘伝のタレもありますし、さらに煮込むことによっておいしくなるカレーもありますからね」
下田「例えがずーーっと怖いんよ」
九条「ふふふ……そういうものに、わたしはなりたい」
下田「宮沢賢治でした!(笑)」
コンビとしての未来像は?
一見、不遜にも感じられる2人。だが、常に攻めの姿勢を保っているのは、自分たちの面白さを確信しているからこそであり、お笑いが持つ無限の可能性を信じているからこそのこと。このインタビュー終わりにはすぐさま大阪へ戻り、翌日に控えた単独ライブのために主戦場であるよしもと漫才劇場へ直行。リハーサル後、朝まで新ネタを詰め続けるという。
――現時点で、コンビとしての未来像はどう描いていますか?
九条「僕は、僕の国を作ります。僕が笑えば民が笑う。僕が食べれば民が食べる。僕が眠れば民が眠る。……そういう国を作りたいです」
下田「めちゃくちゃ怖い!」
九条「コウテイっていうジャンルを作りたい。その気持ちはずっと変わらないですね」
九条「スベってもいいからふたりが面白いものをドーン!!と」
――コウテイっていうジャンルを、具体的に言うと?
九条「“革楽衝動”ですかね」
下田「いや、わからん!」
九条「僕が作った言葉です。大事なのは心臓じゃない、マインドなんです。僕らの生命力とかエネルギーをそのまま、額の真ん中にドーンと響かせるようなネタをやり続けたい。安パイな同じネタを寄席でするんじゃなく、スベってもいいからふたりがただ面白いというものをドーン!!とぶつける」
下田「なんで喪黒福造やねん」
九条「ふはは! 引きこもりのイジメられっ子の貧乏人が夢を見て、自分の国を作りたいと思っている。......ただそれだけのことです。そのために『キングオブコント』も『M-1』も、獲れるものは全部、獲って面白いという手形を手に入れたい。たとえ獲れなかったとしても、変わらず相方と面白いと思うことをずっとやっていきたいですね」
下田「ないですね。目の前のことを1つずつ」
――九条さんはこう言ってますが、下田さんの目標は?
下田「僕ですか? うーーーーーん……(しばし考えて)ないですね。ほんまに目の前のことを1つずつ、それだけです」
九条「小さなことからコツコツと?」
下田「きよし!」
九条「いや、師匠を呼び捨てすな!」