11月12日には、金氏が〈今や世界的な名料理として定着した朝鮮キムチ〉について、〈健康にもよく、味も良い我がキムチが食欲をそそる〉と投稿。キムジャン(越冬用のキムチ漬け)の風習を写真付きで紹介した。
北の愛煙家といえば……
さらに、金氏は11月12日、〈先日禁煙法が採択された〉として、冒頭で紹介したように、〈自分はいわゆる愛煙家だったが、自分自身のためにも、きれいな環境のためにも、大変だろうがタバコをやめる決心をした〉という書き込みをした。
北朝鮮の愛煙家といえば金正恩委員長。会議や現地視察の場などで、タバコを吸う姿が北朝鮮メディアで頻繁に報道されてきた。金委員長は、保育園や幼稚園、地下鉄の構内、学校、病院、公演観覧の時にもお構いなしにタバコを吸ってきた。
朝鮮労働党の財政経理部(別名「39号室」)元高官で、亡命後に米国務省の諮問役を務める李正浩氏は、筆者に次のように明かしている。
「北朝鮮で、ある会議に出席したが、数メートル前の金正恩が相次いでタバコを吸い、タバコの煙に苦しんだ。金正日は公的な場所ではほとんどタバコを吸っていなかったが、若い人(金正恩)はそれが止められない」
しかし、その金正恩も時代の流れには逆らえなかった。コロナウイルス感染拡大を防止するため、さらに気管支と肺を保護するためという理由で、北朝鮮で11月に入って公共の場などでの喫煙を禁じる「禁煙法」が制定された。今後、金正恩が公共の場でタバコを我慢できるのか見守りたい。
「誤ったクリック」で追及される可能性
その他には、〈母の日を迎え、ユニークな祝賀状をたくさん出した〉として、北朝鮮の母の日のカードとみられる写真を掲載した金氏のツイートも。水害で住居地が流された地域で新築された住宅への入居を祝う写真が投稿されたものもあった。
北朝鮮政府は昨年10月、現地の“日常”を伝える映像を流すYouTubeのアカウントも作成している。ここでも個人を前面に押し出して、体制宣伝を試みている。今回のTwitterもこのような脈絡で、外部の世界に、より親しみのある方法で接近しようとしたものとみられる。
一方で、北朝鮮国民は基本的にインターネットを使うことができない。ネットのユーザーは極めて限られ、外国の資料などをリサーチする専門家や担当者などごくわずか。それも、必要な時だけ当局の許可を得て、インターネットの接続が可能となる。
許可を受けてインターネットを利用する時も、専門家らはかなりの緊張を強いられるという。マウスの操作を間違えて、韓国のポータルサイトなどをクリックしてしまったら、そのアクセス記録が残り、後で厳しい追及を受けることになるからだ。