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幾重にも織り込まれたテーマや意味

中野京子さん ©三宅史郎/文藝春秋
中野京子さん ©三宅史郎/文藝春秋

「印象派以前の西洋絵画には意味や物語がありました。画家は観る者にそれを伝えるためアトリビュートやシンボルなどを駆使し、鑑賞者は知識を総動員して読み解き、味わってきたのです。そうした成り立ちの作品に対して、意味などどうでもいい、感じるままただ眺めればいい、と言うのは画家に対するリスペクトを欠くのではないでしょうか。物語のある作品は物語を知って観る、そのほうが面白いですよ。『運命の絵』で取り上げているのは、いろんな読み解きができる作品ばかり。絵画に触れる愉しみを、よりいっそう広げるきっかけにしていただけたら」

 アートとの新しい付き合い方を、中野京子さんの著作から、ぜひ読み解き身につけたいところだ。

中野京子 Kyoko Nakano
作家・独文学者。2017年「怖い絵展」特別監修者。2020~21年「KING&QUEEN展」ナビゲーター。著書に、『中野京子の西洋奇譚』(中央公論新社)など多数。

ブログ/中野京子の「花つむひとの部屋」 http://blog.goo.ne.jp/hanatumi2006