「お金儲けして、何が悪いんですか?」
村上ファンドを率いて経済界に旋風を巻き起こし、「物言う株主」と呼ばれた村上世彰氏。その波瀾万丈の半生と投資理念を書いたベストセラー『生涯投資家』を、ホリエモン漫画で知られる西アズナブル氏が完全コミカライズした。『マンガ生涯投資家』刊行を記念して、お二人の対談をお届けする。
『鬼滅の刃』VS『生涯投資家』
西 (東京証券取引所を背景に「生涯投資家」とプリントされたTシャツを着て登場)単行本発売を記念して、特別につくりました。
村上 すごい、気合入っていますね!
西 実は、あの『鬼滅の刃』の最終巻と発売日が同じだそうで、内心あせってます(笑)。この本は文春オンラインで約1年にわたって連載したマンガをまとめたものですが、最初にコミカライズの話があったときは、どうお感じなりましたか?
村上 文藝春秋さんに言われたら仕方ないですよ。断って、週刊誌に何か書かれたら怖いから(笑)。それは冗談として、なるだけ若い人に読んで欲しかったから、喜んで承諾しました。ただ、投資理論の話はちょっと難しかったかもしれないですね。
西 難しい部分を全部省くという選択肢もあったと思いますが、原作を読んだとき、期待値やリスク査定といった村上さんの投資理念が凄く興味深かった。だから、難しい言葉をなるべくかみ砕いて伝えようと努めました。その方が、全体として物語が面白くなると思ったんです。
村上 それでストーリーのなかに、投資の授業風景を挟み込んでくださったんですね。
西 村上さんと初めてお会いしたのが、母校である灘高の生徒との講演会を見学したときでした。それがヒントになりました。
村上 原作を読んだ人の中でも、難解で途中で挫折したという声が結構あるんです。だから今回、西さんにこういう描き方をしていただいて、本当にありがたかった。ただ、20年前の話なんで、亡くなった方も多いです。僕がファンドを立ち上げるときに相談した日本マクドナルドの藤田田さん、セゾングループの堤清二さん、リクルートの江副浩正さん、みんな故人になってしまいました……。