「殺されていい人ではなかったと思います」
逮捕数日前の10月27日、座間市立図書館で、白石被告は7冊の本を借りている。どんな本を、どんな目的で借りたのだろか。
「洗脳と宗教関係の本です。今後、知り合う人に対して、洗脳を使うことができれば、より、お金を引っ張れると思ったからです」
この日の最後の質問は、被害者への思いだった。Aさんに対してはこう語った。
「過ごした時間が長かったこともあり、何も殺すことはなかったのではないか。まじめにお付き合いをしていればよかった。公判が始まり、Aさんの状況を聞くにつれて、そのように考えました。Aさん自身がいろいろな人に必要とされていました。殺されていい人ではなかったと思います。証拠調べを聞いて、もしかしたら、私に対して本当に好意があったのではないかと思いました。ただ、Aさん以外に、強い感情が湧きません」
Bさん、Dさん、Gさん、Hさんに対する答えは次のような同じ回答だった。
「会って短時間で殺害してしまったので、正直印象が薄い。遺族の方とも面識がないので、何も思いません」
Cさんは唯一の男性だが、「(Aさん殺害の隠蔽という)明確な殺害の目的がありました。証拠隠滅の達成感しかありません。悪いとは思わないです。遺族に対しては面識がないので、深くは思いません」と話した。Eさんに対しては、「会って数時間で殺害をしました。子どもがいらっしゃる方ですかね。証拠の中でお子さんに触れた部分がありましたので、これからのことを思うと申し訳ないと思っています」と述べた。
「逮捕の原因になりましたので、恨んでいます」
Iさんに対しては「(待ち合わせ後)そのまま、Iさんの部屋に行き、真面目に付き合っていればよかった」と、振り返った。
事件の発覚は、IさんがTwitterで自殺募集のツイートをしていることを知ったIさんの兄が、Twitterを使って探そうとし、それに協力した女性が現れたからだ。その女性が囮役になったことで、事件が明るみになった。捜査段階では白石被告は、「Iさんの兄がいなければ、捕まることはなかった。とても恨んでいます」と供述したというが、現在の心境について、次のように答えた。
「今は、正直、Iさんのお兄さんと、協力した女性に対する恨みは残っています。警察で協力者がいたと聞いたので、この女性かと思いました(※やや、声を荒らげる)。結果的に逮捕の原因になりましたので、恨んでいます」
この日は、白石被告の母親の供述調書が読み上げられた。母親は「亡くなった方や遺族の方のことを思うと、自分が生きていていいのかと考えます。責任の取り方が思い浮かばない」などと話していたという。
精神鑑定をした医師の尋問も行われた。医師によれば、「中核となる犯行動機は、楽して生活をしたいということと、楽して性欲を満たしたい、という2つ」とし、「なんらかの精神障害を想定しないと犯行を説明できないというものではない」として、刑事責任能力に影響する所見がないと判断した経緯を説明した。
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