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「Aさんとは手をつないで…」白石被告が法廷で明かした“幸せな日々”と“謝罪の言葉”

座間9人殺害事件 裁判傍聴レポート

2020/11/26

genre : ニュース, 社会

 2017年10月に神奈川県座間市のアパートで男女9人の遺体が見つかった事件の裁判員裁判が11月25日、東京地裁立川支部で行われ、強盗、強制性交等殺人などで起訴された白石隆浩被告(30)に対する最後の被告人質問が行われた。

一部の被害者には謝罪したかった

 被害者一人ひとりに対する現在の思いについて聞かれると、白石被告は、一部の被害者や遺族に対しては「何を思っていたのか、周囲の人がどんな思いで接していたのか、聞いているとわかりました」として、「深い後悔がある」と話した。その他の被害者や遺族との差について、「一緒に過ごした時間の長さやその被害者の家庭環境、逮捕につながったかどうか」を挙げ、謝罪をしたい旨を述べた。そして、実際に「申し訳ありませんでした」と謝罪した。

白石隆浩被告 ©文藝春秋

 前日の白石被告は弁護人の質問にはすべて答えたが、この日は、約50問について小さな声で「黙秘します」と繰り返した。そんな中でも答えた質問は、裁判を通じて弁護人が白石被告の意に反して争ってきたことへの反論だった。

「私の親族に多大な迷惑をかけることはわかっていました。できるだけ公判前整理手続きを簡単に終わらせて欲しかったです。そこを配慮して欲しかったです。できるだけ報道されないようにして、その上で、一部の被害者には謝罪したかったです」

Aさんとは「幸せな日々だった」

 白石被告は、できるだけ審議せずに、簡単に終わらせたかった旨を話した。最初から最後まで、弁護人との関係は良好にならなかった。ただ、他にもいくつかの質問には答えた。最初の被害者Aさん(当時21、女性)については「幸せな日々だった」と話した。

「相武台前駅付近を歩いたときや不動産屋めぐりをしたときに、手をつないでいて、なんとなく落ち着いて、幸せな時間でした。死にたい話はしたとは思いますが、普通に異性として接しました。口説きがうまくいって、なんとなく、Aさんの方から『ホテルへ行こう』と誘ってくれた。希死念慮を消滅させるのも楽でした。口説くのはうまくいきました」

白石被告のアパートから最寄りだった小田急・相武台前駅 ©渋井哲也

 また、Aさん、Cさん(当時20、男性)と3人で会った2017年8月15日の夜、Aさんからカカオトークで「Cさんは死ぬのをやめた。私もやっぱり、生きていこうと思います」とのメッセージを受けた。弁護人から「このメッセージは、Aさんが亡くなった後に、カムフラージュするために指示したのか?」と聞かれて、白石被告はこう答えた。

「私が(2人の)前を歩いていて、CさんがAさんを口説いていたんです。その状況で送られてきたので、カムフラージュではありません」