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2020/12/13

source : 文春文庫

genre : ライフ, ライフスタイル, 社会, 読書

「平成23年3月11日、当社・福島第二原子力発電所1~4号機(沸騰水型、定格出力110万キロワット)は、定格熱出力一定運転中のところ、東北地方太平洋沖地震により、午後2時48分、原子炉が自動停止しました。(3月11日お知らせ済み)

 11月15日午前7時15分、4号機の原子炉が冷温停止状態となり、これにより当所の全号機(1~4号機)が冷温停止となりました。(3月15日お知らせ済み)

 11月16日午後3時現在、1~4号機は冷温停止中です(各号機の状況は別表参照)。

 引き続き、各号機の冷温停止状態のより一層の安定化に努めてまいります」

福島第二も水素爆発?

 ペデスタルに水が溜まっている……不可解な暗号の意味を業者に訊いても、とりつく島がなかった。答えてくれたのは原発の基礎知識をレクチャーしてくれた某電力会社OBである。

「ペデスタルに水が溜まってると言った……それが事実なら、すごい圧力がかかったということ……制御棒か配管か、壊れた場所は特定できなくても、とにかく原子炉の底は抜けている。1Fと同じく水素爆発があったと考えるのが妥当。ウランを核爆発させている原子炉格納容器……つまり心臓部が破損したから、釜の上下に異常がある」

 原子炉建屋が崩壊しない程度の小爆発……絶望的としか言えない1Fの深刻さとは比較にならないが、1Fばかりに目がいき、2Fに注目するマスコミはいない。

 マジックは観衆の目の前にかざした右手に注目を集め、誰もみようとしない左手で奇跡を演出する。些事とは言え、原発村に存在する隠蔽工作の手口をあちこちで目撃した私は、2Fの水素爆発を完全否定することが出来ない。

※写真はイメージ ©iStock.com

ヤクザと原発は「似たもの同士」

 放射能というモンスターを利用するため、原発は常時、完璧な運用を求められる。他の発電所なら許されることが、原発では大きな問題になってしまう。運用する人間が完璧でない以上、ミスは必ず発生する。限りなく100パーセントに近い安全を求められる原発は、必然的にミスを隠蔽しようと動く。

 表向きは任侠団体を標榜し、暴力という威嚇力で利益を得るヤクザたち……。

 取材の渦中で聞かされた組長のつまらないダジャレを思い出した。

「ヤクザもんは社会のヨゴレ、原発は放射性廃棄物というヨゴレを永遠に吐き続ける。似たもの同士なんだよ。俺たちは」

 組長の得意顔がフラッシュバックする。ともにダブルスタンダードの常用を余儀なくされる点では、確かに似ている。(文中敬称略)

ヤクザと原発福島第一潜入記 (文春文庫)

鈴木 智彦

文藝春秋

2014年6月10日 発売

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