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2020/12/13

source : 文春文庫

genre : ライフ, ライフスタイル, 社会, 読書

「遠隔操作でどれだけのことができるのか? 手探りです」

 ホントは上から取らなきゃいけないものなんですよね、燃料って。落ちちゃってれば下から取るしかない。その場合でもいろんなパターンが考えられる。燃料が落ちて固まってるとしますよね。固まってたらどうやって切断してどうやって出すか、東芝さんにしても日立さんにしても、その案を練ってくれている最中なんです。どうやったらいい。どこから手を付ければ早い。いろんなアイディアが出ている。でもいまは身動きが取れない。人を行かせたらアウトだからです。

 第一、マスクが持たない。チャコールフィルターってのも気休めなんです。正直いえば40パーセントくらいは吸い込むだろうって言われてます。ただそれは公表できない。フィルターがどれだけの時間持つ、としか説明できない。燃料が落ちきれてないとなると、また別の話になる。原子炉の底を止めてる部分を外すか、穴をあけるか……完全に下に落としてから回収する。

 人を行かせないでやろう……それが前提だから作業は長期化する。でもいずれ、機械や装置を取り付けるために一回は炉心部に行かなくてはならない。可能な限り被曝させないで装置を設置する。あとは遠隔操作でやる。遠隔じゃなかったら無理ですね。特攻みたいになっちゃう。チェルノブイリの映像で、燃料が溶け落ちた様子を撮影してるものがある。あれだけ鮮明に撮れてて、戻ってきてるってことは、いくら食ってるんだろうとゾッとします。すべて初めての試み。果たして遠隔操作でどれだけのことができるのか? 手探りです」

※写真はイメージ ©iStock.com

結論が出ていても情報は小出しにせざるを得ない事情

 すべてを包み隠さず言えば、原発は人間の手に負える代物ではない、と結論が出る。が、そうなれば他の地域の原発を再稼働するのは難しいし、建設途中の新規原発も中止に追い込まれる。東電にすれば、洗いざらいぶちまけ、ラクになりたいだろう。が、そうなれば水素爆発直後のような放射能パニックが再燃しかねない。政府の要請もあって、情報は小出しにせざるを得ない。

「11月になってから、2号機の原子炉から採取した気体に、放射性キセノンが含まれていると発表されました。核分裂反応の証拠になるので、再臨界ではないかとマスコミが騒いだ。けど、現場はいたって普通でした。誰も騒がなかった。格納容器の底が抜けてるという時点で、業者さんたちにはわかり切ったことだからです。

 最終的に核分裂が連鎖する臨界ではなく、『自発』核分裂で危険はない、と言われ、自発ってなに? ってところはあるんだけど、実際、2号機は報道ほど危険じゃないと思います。というか、正確な測定器が付いているのは2号機だけで、1、3、4号機のことは分からない、いや、どう考えてもそれ以上にやばい。本社の上の人間が、情報を小出しにしてるのはあると思います。いずればれるでしょうが、今は言えない」