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「日本の男って簡単よ。一寸、胸や腰を触らせてあげるだけで、大喜びするの」 中国人毒婦は、本当に“夫殺し”を依頼したのか

『中国人「毒婦」の告白』#9

2020/12/10
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 最初に驚いたことは駐車の方法です。木の板でナンバープレートを隠しました。周りの車も同じようにしてあります。鍵もしません。部屋に入ると、そこは清潔な住居で、ソファー、テーブル、ベッド、テレビ、トイレ、浴室、生理用品。あるべきものは、全部そろっていました。ただ、布団と枕は全部ピンク色でした。ラブホテルです。

 彼とのセックスは楽しくも気持ちいいものでもなかったですが、これが初めての不倫でした。

 多分、私を縛る茂さんへの報復の気持ちが強かったのかもしれません。

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※写真はイメージ ©️iStock.com

男性とは何?

 男性とは責任です。男性とは女性が嵐をさけるための港です。自分の女性と子どもに安定感を与え、楽しい家庭を与えなければならないのです。それができない男は、妻を娶り、子どもを作る資格はないのです。このような男は齢をとったなら、晩秋の木の葉のように、雨に打たれ、風に吹かれて、枝から離れ、空中に舞って落ち葉となって、樹木の根に戻るのです。

 私は遥かな黒龍江の岸辺にいた一羽の鳥でした。そこには美しい山、美しい川、明るく美しい太陽の光がありました。私はそこから海を飛び越え、はるばる日本に渡ってきた勇敢な鳥です。暴風雨を恐れずに、長旅の苦労も恐れないのです。私は自由を追求し、美しい生活を渇望し、未来に憧憬を抱いた一羽の鳥なのです。私は天を父とし、地を母とし、かつて天と地との間を自由に飛んでいたのです。でも今は籠の中の鳥です。〉

 身勝手な言い分と、2人の子の母とも思えぬ乙女チックな自己弁護だが、この不倫行動は裁判の過程でも明らかにされている。

※写真はイメージ ©️iStock.com

 いずれにしても詩織の行動は、このころから随分と大胆になり、飛躍しはじめる。

 詩織は同じころ、日本国籍を得ているが、その際、名前を秋子から詩織に変えている。何か彼女の中で期するものがあったに違いない。また公判によれば男とは週に1、2度の割合で会っていたといい、詩織の方から男に、時に何万円かの小遣いを渡しており、総額では40万円にもなったという。