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秋篠宮さま「結婚と婚約は違います」リベラル教育の“光と影” 平成期の皇太子家と関係性はなぜ逆転したか

2020/12/01

source : 文藝春秋 digital

genre : ニュース, 社会

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個人の意思を尊重するリベラルな秋篠宮家への期待

 また、眞子内親王、佳子内親王ともにこれまでの慣習にとらわれずに、ICUへ進学したこと(佳子内親王は一度進学した学習院大学を中退してICUへ)も、秋篠宮夫妻がそれぞれの意思を尊重し、自由に子どもたちの教育を行っているととらえられた。

宮内庁提供

 皇太子家(当時)が、雅子皇太子妃の病気療養によってなかなか外へのアピールができず、しかもメディアなどで様々な批判が展開されていたことと対比するかのように、秋篠宮家への注目は高まった。2006年9月6日に長男の悠仁親王が誕生したことも大きいだろう。リベラルな秋篠宮家への期待は高かった。

 そして、被災地訪問や慰霊の旅に代表される、いわゆる「平成流」の天皇制が国民から歓迎されて高い支持を得つつ、2016年8月に平成の天皇が退位の意向をにじませた「おことば」を発したことで国民の天皇制への関心が高まっている最中に、眞子内親王と小室圭さんの婚約内定が発表されたのである。2017年の九州豪雨のため、いったんは延期されたものの、9月3日に婚約内定記者会見が行われた。ここでも、お互いを「太陽のよう」「月のよう」と述べた二人の姿は慶事として好意的に受け止められた。こうして、結婚まで順調にいくかのように思われた。

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金銭トラブル報道により事態は一変

2019年7月、ボリビアを訪問された眞子さま ©AP/AFLO

 ところが、2017年末に「週刊女性」が小室圭さんの実家の金銭トラブルに関する記事を掲載(12月26日号)、「週刊文春」や「週刊新潮」、「週刊現代」などの各週刊誌・女性誌も同様の問題を報じるようになった。年明けから週刊誌メディアはこれに関する報道を過熱させ、ネットでも小室圭さんや母親に対するバッシングが展開されるようになった。

 そして、2018年2月7日には宮内庁から「納采の儀を始めとするご結婚関係儀式等は、後日に延期する」との発表がなされた。宮内庁は変更後の日程については「改めて発表する」としながらも、翌年は「代替わり」という皇室にとって重要な儀式などが目白押しであることから、「それら一連の儀式等が滞りなく終了した再来年になる見込み」とも言及していた。

勤務先で取材に応じる小室圭さん ©JMPA

秋篠宮ご夫妻「現在のままでは納采の儀は行えない」報道の重要性

 その後、小室さんはアメリカ・ニューヨーク州の弁護士資格取得を目指して留学することとなり、フォーダム大学ロースクールへ向かうためにニューヨークへ出発する。その翌日の2018年8月8日、「朝日新聞」が眞子内親王との婚約が内定中の小室圭さんと母親に対し、秋篠宮夫妻が「現在のままでは(皇族の正式な婚約にあたる)納采の儀は行えない」と伝えていたと報じた。

 この記事は大変重要である。秋篠宮夫妻は金銭トラブルに関する記事が出て以降、小室さんや母親と面会、「結婚にあたっては日本国憲法に基づき当事者の意思を尊重すべきだ」と考えているものの、「皇室の一員としては広く国民の祝福と理解を得ることも不可欠と思っており、複数の週刊誌でトラブルが報道され続けている現状では、正式な婚約や両陛下へのあいさつができる状態ではない、と考えたという」。