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「露出度が高いユニフォームを着ていないと、誰も見てくれないよ」 それでも女性アスリートが“撮影禁止”を求めない理由

2020/12/06
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「ジャージ着て走れよ」という反応

――今回、JOCが対応に乗り出したことで、さまざまなメディアで報道されました。ネットニュースなどに寄せられたコメントで、印象に残ったものはありましたか?

カオル 「女子選手は男子に比べて競技レベルが劣っているから、露出度が高いユニフォームを着ていないと、誰も見てくれないよ」、「ジャージ着て走れよ」などでしょうか……。ああ、そう捉えられてしまうのかと思いました。

ハナ 「あのユニフォームがおかしい」というコメントが大半でしたね。ただ、ユニフォームにだって、選手の選択の自由があるべきだと思うんです。性的に見られることがあるかもしれない、性的被害に巻き込まれる可能性もあると理解した上で、できるだけ露出が少ないユニフォームに変えようとか、セパレート(上下で分かれ、お腹の見えるタイプ)のユニフォームを着たいとか、選択できる世の中になればいいなと思います。今、選手たちはセパレートがかっこいいと思って、みんな着ていますからね。

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©️iStock.com ※写真はイメージです

――セパレートを好きで着ている選手が、競技以外の面を気にして服装をかえることには、葛藤もありませんか。

ハナ あとから傷ついたり、写真が悪用されてしまうよりは、良いのではないでしょうか。一回、SNSに上げてしまったり、上げられてしまった後は、自分の手の届かないところに行ってしまうので。

カオル 性的ハラスメントを受けてからでないと、分からない人の方が多いと思うんです。だから被害も多いのだなと思います。私たちは陸上の成績が第一で、絶対その試合に集中しているから、撮られるとか思わないんです。ユニフォームのことばかり意識していられない。それで、撮られて後からSNSに載せられて、気づくんです。

ハナ 一番望ましいのは、みんながかっこいいなと思っているセパレートのユニフォームを着ても、被害に遭わないように、陸連やJOCに対策をしていただくことですね。