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2020/12/04

「昭和の野球」のラストシーン…運命の「10.19」

 1988年に南海ホークスがダイエーに買収されて九州に去り、阪急ブレーブスがオリエント・リース(翌年からオリックス)に買収されてチームカラーを一変させる中、近鉄は、この年、運命の「10.19」を迎える。

10.19を率いた仰木彬氏 ©文藝春秋

 この日、川崎球場で行われたロッテとのダブルヘッダーで近鉄は2勝すれば、西武を抜いてシーズン優勝が決まる。第1戦を勝利した近鉄だが、2戦目はロッテの粘りにあって引き分けに終わって涙を飲んだ。

 散々語りつくされた球史に名高いドラマだから、ここでは詳しくはふれないが、この時の近鉄は、10月7日から続いたダブルヘッダー2回を含む15連戦の最終戦であり、ナインは疲労の極にあったことは付記しておきたい。

当時の中西太コーチ(左)と試合を見つめる仰木彬監督 ©文藝春秋

 当時サラリーマンだった筆者は残業のために定食屋で晩飯を食べていたが、あまりの盛り上がりに店主のおやっさんがコップにビールを注いで持ってきて、一緒にテレビに見入ることとなった。ビールを飲み終わっても終わらなかったので、上司と一緒に会社の会議室のテレビで決着まで見た。久米宏の英断で「ニュースステーション」中も野球中継になったが、時間切れ引き分けが決まった瞬間に、社内から大きなため息が出た。

 この日の近鉄バファローズは、間違いなく「全国区」の注目を集めた。近鉄バファローズ54年の歴史で最も人気があった瞬間ではないか。思えばこれが「昭和の野球」のラストシーンではあっただろう。

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